「徐々にそうしたカリキュラムが増えてきたら、自然とお受験を考える保護者の方が増えて、幼児教室などに行くために早退する子が多くなってきたんです。だったら、保育園にいる間に習い事もできたらいいんじゃないかと、幼児教室やお受験対策のオプションカリキュラムを入れました」

 オプションカリキュラムは、お受験対策もできるグループでの幼児教室、空手、絵画、英語、音楽、積み木、受験対策の個別指導まで様々。音楽はカワイ音楽教室、英語はミネルヴァ、幼児教室はわかぎり21などと提携し、それぞれのスクールのプログラムを園で受けられる。

 こうしたオプションカリキュラムは別途料金がかかるが、活動内容をそれぞれの家庭向けにその子が取り組んでいる様子の写真や作品、報告ノートなどが渡され、活動内容がきちんと伝えられるようになっている。

 現在は年中以上ではほとんど全員の子どもがオプションカリキュラムを何か申し込んでおり、1人で2、3つに登録している子もいるそう。

1回3時間の受験個別指導で有名私立合格を狙う

 昨年からスタートしたオプションカリキュラム、年長向けのお受験対策の個別指導クラスを見学させてもらった。2人の生徒に対して1人の先生がつき、個室で指導する。先生は、経験豊富な外部からの専門講師だ。3時間のクラスを週2回の個別指導に、さすがに子どもたちの集中力は続くのだろうかと疑問に思い聞いてみると、間でおやつ休憩が入ったり、ペーパーワークだけでなくお絵描きや工作をしたり、様々な取り組みをするので問題ないという。

先生の指示を聞いて、集中して取り組む年長の子ども。しっかりと机に向かう姿勢は、日頃の積み重ねを感じさせる
先生の指示を聞いて、集中して取り組む年長の子ども。しっかりと机に向かう姿勢は、日頃の積み重ねを感じさせる

 これまでのお受験対策の幼児教室カリキュラムはあったものの、個別指導も始めたのには森さん自身が我が子のお受験を体験したことにあるという。

 「いまは、お受験で共働きか専業主婦かということは気にしませんし、問題ではないと思います。しかし、小学校受験を考えるのであれば、やはりある程度の勉強は不可欠。そうなると、子どもと過ごす時間が少ない共働き家庭の方が、準備にかける時間が限られるのは事実です。差が出るのは、やっぱりそこなんですよね。私も仕事をしながら子どもの勉強を見ることの大変さを、思い知りました。

 じゃあ、どうしたらいいかというと、やはり量より質で勝負するしかないんです。働いていても子どもと過ごせる時間を勉強のためにイライラして過ごすのも良くないですよね。だからこそ、一人ひとりの強みや弱点を理解して、そこにピンポイントに対策を立てられる個別指導を園にも取り入れました。昨年からスタートしていますが、すでに成果はありました」