根気よく、何度も繰り返して子どもに問いかける

 さて、ここで子どもが何か公式を使って解きはじめ、答えが出たとしましょう。そのときには、

 「その式で何が出たの?」

 と聞いてあげてください。

 この質問は子どもに、たった今まで自分は何を求めるために計算をやっていたのかを思い出させるためです。

 子どもは忘れやすいものです。式を書いていた時は答えで何を出すつもりかわかっていたのに、一生懸命計算しているうちに、それが何だったのか忘れてしまうことはよくあります。ですから、お母さんのこういった声かけで、子どもに思い出させることは大切です。その後で、

 「次に何を出せそうに感じる?」

 と聞いてあげます。これを繰り返して、次第に正解に導いていきましょう。

 原則は、「親はできる限り教えない」「子ども自身に確認させ、思い出させ、予測をさせるために、やさしい言葉遣いをする」「つねに穏やかな笑顔で接する」ことを心がけてください。

 なお、子どもに問いかける言葉は、その子の頭に刷り込まれるまで何度も繰り返して言うことになります。その期間は、早くて1カ月、長くて半年くらいです。でもこれをしっかり行うことで、子どもは、刷り込まれた言葉を使って自問自答ができるようになります。

 「問題文は最後まで読んだか」(自分の行動を確認)
 「何がわかっているのか」(仮定を確認)
 「何を聞かれているのか」(結論の確認)

 そして、「何を書けば解けそうに感じる?」と自分に聞くことで、自分の頭の引き出しから問題を解くための知識や考え方をアウトプットできるようになるのです。

 これができるようになることが、賢い子の条件になります。

 これらの質問の言葉は、私が日頃家庭教師として教えている時の口癖でもあります。ぜひ活用してみてください。

 次回は「数字と計算に強くなる秘密のメソッド」についてお話しします。

もっとくわしく読みたい人は……

『御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方』
西村則康著/アスコム

購入はこちらから
●Amazonで購入する