子どもに与える負担というのは、量も質も、「もうちょっとがんばれば、何とかなりそうだ」というくらいが最適なのです。

 もうちょっとがんばって、「やり切ることができた」という自分を想像できるくらいの量――つまり達成できるという「成功の予感」が持てる量に対して、子どもは(大人も)いちばん努力できるものだからです。

 問題を絞り込むことによって、その日のテーマをすべて終えられた自分とその快感を想像させながら、子どもに勉強をがんばらせることが可能になってきます。

習慣づけてしまった暗記学習から脱する

 でも、なかには量を調整しても、ただ勉強時間が少なくなるだけで効果が現れない子どももいます。それは、長いあいだ暗記学習だけで過ごしてきたために、覚えることが勉強なんだと思い込み、頭を使って考える習慣をなくしてしまっている子どもです。

 必要なのは、自分の言葉で考えられるようにすることです。

 この場合は、親の大きな努力が必要ですが、時には十分な力量のある第三者の協力も必要でしょう。でも、親が子どもの勉強に付き添ってあげられる時は、こんな声かけからはじめてください。子どもが問題を前にして立ち止まってしまっている時がチャンスです

 「問題文は最後までちゃんと読んだ?」

 はじめは、問題文を音読させるのもいいと思います。その後、

 「問題では何がわかっているの?」
 「問題では何を聞かれているの?」
 「何を使えば解けそうに感じる?」

 という順に聞いていきます。くれぐれも穏やかに、笑みを絶やさずにお願いしますね。

 ここまで質問を重ねて、「何を使えば解けそうに感じる?」と聞いても「わからない」と子どもが答える時は、本当にわかっていない。または、それを解くための知識を持っていないことが多いと思ってください。

 そんな時は、

 1.親が教える
 2.塾の先生に質問させる
 3.信頼できる家庭教師か個別指導の先生に質問する

 これら3つのなかから選択してください。ちなみに、親が教える場合は、親自身の勉強が大切になることを申し添えておきますね。