ネグレクト、男性の不妊治療助成…実態に寄り添った支援策を

 三重県の子育て支援はこれからも多方面でどんどん進化させていきます。例えば、歯科医と組んで開発した「MIES」は、学校の歯科検診を活用しながらネグレクト(育児放棄)を発見するチェックシステムです。

 アザなど身体的変化が表面化しづらいネグレクトは、「歯磨きが十分でない」といった生活習慣から見抜けることが多いためです。児童虐待や育児放棄の問題も起こってから対処する解決策だけでなく、「予防的支援」を重視しています。

 三重県の子育て支援のテーマは「切れ目のない」こと。結婚後、子どもが欲しいと不妊に悩む夫婦のサポートも手厚くしたいと考え、今年4月、全国で初めてとなる男性不妊治療の助成を始めました。これは、男性の不妊治療で著名な石川智基医師がたまたま神戸の駿台予備校時代の同期だったというご縁があり、彼に「不妊の原因の48%は男性にあるのに、日本の不妊治療の当事者は女性だけに偏り過ぎている」という事情を教えてもらい、海外の事例なども情報収集して政策に反映したものです。

 虐待予防に関しては児童福祉の現場に携わる方々、不妊サポートに関しては専門のドクターというふうに、常に“現場の当事者”の声を聞いて勉強することが、本当に活きる子育て支援につながると信じています。

 参考事例は世界中にあります。最近は、フィンランドの子育て支援システム「ネウボラ」の発想を一部取り入れた仕組みづくりを、名張市が進めていて、三重県でも市町の取り組みの支援を行っています。これはいい!と思ったらすぐに取り入れる。私が次々にお題を出すので、職員は大変だと思いますが(笑)。

 6月27日(金)、28日(土)には、「ファザーリング全国フォーラムinみえ」を産学官民協働で開催します。子育て支援や男性の育児参画に先進的な取り組みをしている東京都文京区の成澤廣修区長、湯﨑英彦・広島県知事をお招きして、育休を取得した県内首長などと共に「共同宣言」を発表するんです。記念すべきフォーラムの開催を契機に、「みえの育児男子プロジェクト」をますます積極的に推進していきたいと考えています。

<インタビュー後、鈴木知事について職員に聞いてみた>

 国内外の先進モデルを積極的に集め、「これでもか」と言うほどに子育て支援を進める鈴木知事。限られた時間でお話を伺うだけでも、その“本気度”が伝わってきました。

 その熱意を実現するにあたって、知事本人は「県庁の職員は大変かもしれない」とおっしゃっていましたが、現場で制度の策定や実施に携わっている三重県健康福祉部子ども・家庭局少子化対策課の藤川和重課長は「トップメッセージが明確だから、非常にやりやすい」とコメント。県庁内の若手男性職員の育休取得推進についても、「中間管理職の私見ではなく“知事からのミッション”として伝えられるので、伝達が円滑に進む」と、鈴木知事の“イクボス”ぶりを歓迎していました。

(ライター/宮本恵理子、写真/花井智子)