子育ては家庭の中で完璧になんてできるはずがない
もう一つの大きな理由は、個人的な体験からです。2年前に初めての子どもを授かり、妻(シンクロナイズドスイミングメダリストの武田美保さん)と二人で子育てをする生活が始まりました。
周囲のサポートも頂き、3.5日間の育児休暇を取得して、丸一日育児をする経験をしました。そしたら、まぁ、カルチャーショックの連続でしたよ(笑)。なんで泣くの? どうしたらええの? と戸惑うばかり。
つい最近も、夜中に息子が39.5度の熱を出して二人で大騒ぎしたところです。夫婦共に地元を離れて三重で子育てを始めましたから、毎日てんやわんや。
二人だけでどうにもならない時は京都で暮らす妻の母に来てもらっています。そうやって育児にコミットしていると、「あぁ、子育てってのは『家庭の中で完璧にやりなさい』と言われても無理や」と肌で実感したんです。
活躍する働く夫婦を行政がサポートする仕組みを作りたい
妻はシンクロナイズドスイミング選手として非常に日本に貢献した人ですから、これからもずっと活躍してもらいたい。もちろん私も今の立場として成し遂げたいことはたくさんあります。
夫婦それぞれのキャリアと育児の両方が充実してこそ幸せを実感できるはずですが、それを個人の努力だけで目指すのは無理です。行政がサポートできる仕組みを考え得る限り、打っていくべきだと確信したわけです。
実際の取り組みとしては多岐に渡って進めていますが、特に、育児における男性の当事者意識を高める仕掛け作りには重点を置いています。男性の育児参画の促進、名づけて「みえの育児男子プロジェクト」です。
ある調査では、海や山など自然の中で豊かな遊びの体験をした子どもは、大人になってから一つのことをやり抜く力や深く探究する力に長けているそうです。これはまさに「生き抜く力」ですよね。
さらに、別の調査ですが、母親は子どもにこのような力を身につけさせたいと思いながら、「自分一人では難しい」と感じているそうです。三重県では、父親が貢献できる役割として「子どもの生き抜く力を育てる」を掲げ、親子で野外遊びの体験をしやすい環境づくりなど進めていきます。