ロンドン・ビジネススクール教授であり、新しい働き方を説いたベストセラー『ワーク・シフト』著者でもある、リンダ・グラットンさん。最新刊は『未来企業――レジリエンスの経営とリーダーシップ』。グラットンさんは、ロンドン在住で2人の息子の母親でもあります。「リンダ・グラットン 80年間働くための企業選び」に続き、今回は日経DUAL編集長・羽生祥子がグラットンさんのワーキングマザーとしての素顔に迫りました。

女性が社内の“ガラスの天井”にぶち当たるのは、35歳前後


ロンドン・ビジネススクール教授で『ワーク・シフト』著者のリンダ・グラットンさん

―― 前著『ワーク・シフト』にある、子育てしながら働く人々へのたくさんのエールを読み、勇気づけられた働くお母さん・お父さんがたくさんいると思います。私にとっても大きなパワーになり、読んでいて、時に涙すら出てきました。

グラットンさん(以下、敬称略) 私も書きながら涙してました!

―― 私は「X世代」(『ワーク・シフト』に定義される、1965~79年頃生まれの人を指す言葉。現在、働き盛りの子育て世代)で2人の子どもの母親です。

グラットン ということは、働きながらの子育てがどういうものかをよくご存じだということですね。私にも23歳と21歳の息子がいます。今回、一緒に日本にも来ているんですよ。

 (時計を見て)今は夕方の6時ですから、彼らはちょうどビールを楽しんでいる頃かしら? 働きながら子育てしていることの醍醐味の1つは、成長したわが子を自分の職場に連れていったり、自分が仕事をしている様子を見せてあげられるということですよね。

―― そうですね。前著を読みながら、英国など先進国の状況は共働き世帯は増えているなど、日本の現状と似ている部分があると感じました。

グラットン そうですね、欧米諸国では夫婦共働きが当たり前です。

―― 日本だとパートタイムを含め、夫婦のいる世帯の6割程度です。

グラットン 6割が共働きという数値はとても高いと思います。

 共働きではありますが、企業内では男女平等はまだ道半ばです。X世代は現在35歳前後。ちょうど企業内の“ガラスの天井”にぶち当たるタイミングです。

 欧米諸国において、現在の大学卒業生のうち、女性は50%。企業のマネジャークラスになると、この割合が30%に減り、経営層ではほんの15%になってしまいます。

 X世代の女性にとって、30代半ばは踏ん張りどころなんです。キャリアアップが徐々に難しくなっていきますから。この問題は欧米諸国においてもまだ未解決です。女性社員は昇進できずに終わってしまったり、パートタイマーに切り替えるという働き方に留まったりすることになるのです。

次ページから読める内容

  • 残念ながら、特殊な属性の女性しか昇進できていない現状
  • 欧米でも「結婚するならイクメンに限る」と言われている
  • 職場の上司が「マッチョタイプ」から「バランスタイプ」に移行中
  • 男性の育休取得は、男女にとって職場環境を改善する第一歩になり得る
  • 日本の職場における最大の問題は長時間労働
  • 年間240万円をベビーシッター代に注ぎ込んで、フルタイム勤務を継続
  • 「会社に早く行け」とは言われたが、「行かないで」と言われたことはない
  • 育児と仕事の両立を考えた結果、息子達をボーディングスクールへ

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