私は、できるだけ各人の能力を伸ばし、女性や高齢者の活用について検討したり、国際養子縁組などを行ったりすることによって、今ある人口のままで経済を支えていく仕組みを作っていくことが有効なのではと考えています。

 例えば、現在の日本の子どもは児童虐待や引きこもり、不登校、施設内虐待などの問題を抱えています。こういった問題は、「子ども達がかわいそうだから解決しなければならない」のではなく、「社会にとって損失だから解決すべき」という認識でなければなりません。諸外国では「貧困の家庭に生まれ育っても国を支える人材になり得る」と考え、こういった問題に積極的に取り組んでいます。日本も同じ認識であるべきだと思います。

 保育園の数を増やすことについては、既に活発に議論され、取り組みも行われていますが、保育の質や学童保育の質については、まだまだ議論が足りていません。いくら保育園を増やしても、それが子どもの能力を伸ばせない保育所では意味がないはずです。OECD諸国では保育の質が重要視されていて、保育にお金を使いながら、実際にそれがどういう効果を上げているかについて詳しく調べています。たとえ保育園の量的拡充ができても、こうした質を改善するための予算が組めないようでは、根本的な解決にはなりません。

女性の活躍を促す社会構造をつくることも重要

 また、女性の能力向上・能力発揮に向けたいっそうの議論が必要だと感じました。

 国際的に見ると、日本は女性の大学進学率の低さが目立っています。海外では、女性の就業率が高くなっていますが、それは当たり前で、女性のほうが男性より高学歴なんです。