また、財源問題も大きな課題となっていました。今回、森まさこ大臣に渡された「少子化危機突破タスクフォース(第2期)」のとりまとめによると、都市と地方で対策が異なるため、地域の特性にあった対策と、GDP比2%の財源を確保することが重要とされていました。

 社会への働きかけとしては、少子化危機突破の認識を共有すること、特に企業の対応を変革する必要があるとし、企業のトップの意識改革が重要ということが書かれていました。

 内閣府の「選択する未来」委員会の総人口の将来推計によると、50年後は国民が1億人程度、さらにその一世代後には微増に転じるという目標が掲げられています。こうした推計も出ていることから、社会全体でこの問題に真剣に取り組む必要があるということが明言されていました。

 以上が、タスクフォース第2期の内容です。その中で私が感じたことについてお話しします。

保育の質を上げることで、少子化による影響を緩和することが可能に

 まず少子化危機に対しては、少子化の要因への対応(人口増加策)の検討に偏り過ぎているのではないかと懸念しています。

 これまでの議論が不十分だったから、改めてきちんと話し合う必要があるという主張は理解していますが、その一方で、少子化の影響への対応(人材の活性化)の議論が不十分のように思えます。

 たとえ出生数が増えたとしても、仕事について安定した収入を得ることができず、社会保障に頼る人が増えれば、持続可能で活力ある社会は実現不可能です。人口増加のみに期待することは、少子化対策としてバランスを欠くというように感じました

 また、人口増のみに的を絞って対策を取るのは、人口が増えなかった場合のリスクが大きいと思いますし、実際、増やそうと思って増えるものではないとも思っています。

 では、思ったほど人口が増加しなかった場合、どうすればいいでしょうか。