大事なのは、試験で測れる能力より測れない能力

北原校長(本郷中学校) これから社会の中で、第一線で活躍していく若者を育てるために、どういった力をつけていきたいか。思いを伝えてください。

コーディネーターを務めた本郷中学の北原校長
コーディネーターを務めた本郷中学の北原校長

梶取校長(武蔵中学校) 男子校といいますと、質実剛健とイメージされる方もいるかもしれません。少なくともうちは違います。弱い子が多いですね。やはりタフになってほしい。例えば、一学期が終わったときに成績が出ますよね。その成績表をもらって泣く生徒がいるんですね。たぶん家で厳しいんでしょう(笑)。そんなことで泣かなくてもいいだろうというところで、よく泣きます。中学生だけじゃなくて、高校生になってもそうです。色々な意味で、精神的な意味でも、肉体的な意味でも、もっとたくましくなってほしいですね。

 生きているうちに、想定外のことは起こるんです。それに対して対応するためには、レールに乗っかっていたら無理なんです。

 自分で考えなければならないことはたくさん出てきますから、臨機応変に対応することが必要です。最近、私学で「避難校ネット」というのが始まりました。3.11のようなことが起こったときに、各学校で生徒を受け入れようという試みです。

 通学ルートの中に学校があるのかどうか、調べることは大事ですが、実際にどこにいったらいいのか自分で考えるしかない。マニュアルを用意してここに行ったら安全、ということはないんです。自分で最終的には判断して考え、対応できなければいけない。

 これは男子も女子も関係ないんですが、人として色々な対応ができる、これが本当の意味での頭の良さだと思うんです。塾で頑張って高い点数を取ることも、よいことではあるんですが、試験で測れる能力と、そうでないものがあります。そうでない能力のほうが大事なんですね。その辺をどう伸ばしていけるかが、うちの課題かなと思っています。

男の子に身につけてほしいと思うのは「覇気」

平校長(麻布中学校) 勉強に関しては、先生方は非常に一生懸命やっていると思いますので、私立中学なら、どこに行っても間違いないと思います。どこが違うのかというと、それぞれの学校が何に力点を置いているのかという校風ですね。

 私から見て男の子に身につけてほしいなと思うのは、覇気と言いますか、意欲ですね。自分は絶対これをしたいとか、何をやるんだとか、内側から湧き起こる情熱的なもの。これは周りがいくら整えても、それ自身を生み出すことはできない。

 何か与えられるものだけをこなすということではなくて、自分から進んで調べたり考えたりする、意欲を持った生徒に入ってほしいと思っています。

 小学生のお子さんには、紙から得る知識だけではなくて、ご家族で夏休みとかに旅行に行って、星空を見たり、鉄道に乗ったり、住んでいる地域とは違う風物を見たり、体験を積むことが大事なのかなと思います。