平秀明校長(麻布中学校) 明治になって近代教育が始まって140年余りですが、戦前の70年間と戦後の70年に、大きく二つに分かれると思います。

 戦争の前は小学校の高学年以上、特に中学校に入ってからというのは公立の学校でも男女別学だったんです。当時は男の子は立身出世、女性は家庭を支えるという役割分担があったと思うんですが、戦後、公立の学校は、アメリカの影響もあって、ほぼ共学になりました。

麻布中学校の平秀明校長
麻布中学校の平秀明校長

 男子校として残っている学校というのは、ある意味、そういう戦前からの伝統を受け継いでいる学校が多いのではないかと思います。

男女は同権。でもやはり男と女は違う

 戦前と今では状況が全然違うわけですけれども、私は「男女は同権ではあるけれども、やはり男と女は違う」と思っています。特に思春期の中学・高校時代、それぞれ別学というのはよい部分のほうが多いのではないかと考えています。うちの学校は、“遊ぶ学園”とも言われるくらいに、よく生徒が遊びます。男の子の脳は、集中力が高まるというか、マニアになります。趣味でも勉強でも、一つのことに集中力を発揮するという感じの子が男の子には多いのではないかと思います。

 本校の文化祭では、自分達の趣味を極めた展示が充実しています。そういうのを見に来た小学生達が「ぜひこのクラブに入りたい」とイキイキしています。

 麻布は、教員も多彩な方が多くて、オセロの世界チャンピオンになった先生もいらっしゃいます。教員は生徒に絶えず刺激を与える存在、そういう位置づけと考えています。

 生徒も勉強に一生懸命になる子もいれば、スポーツ、趣味に一生懸命になる子がいるという、どんな子にも居場所があって、非常に多様性のある学校になっていると思います。