私は様々なライフスタイルのお母さんにお会いしてきましたが、どんなお母さんも抱えている悩みの本質は一緒です。専業主婦のお母さんは毎日濃密な時間を子どもと過ごすゆえのストレスを感じ、ワーキングマザーは「子どもに十分な愛情をかけられていないんじゃないか」と自分を責めたり、焦ったりしています。

 そして、働く・働かないに関わらず、「自分の思う通りにならない存在」である子どもに、イライラを感じてしまっているんですね。そうやって、あまりにも疲れがたまったときに、心にもないことを子どもに言ってしまって自己嫌悪…。そんな経験、誰でもあるんじゃないでしょうか?

 子どもは、親の言葉から多くのことを受け取っています。

 何気ない日常の中で口にする言葉のひとつひとつを大切にすることで、子どもの感性は豊かに育ち、大人になってから社会をたくましく生きるための基盤が備わっていくのだと思います。周りの人を思いやることができる、どんな時も感謝の気持ちを持てる、他人との比較ではなく自分自身を大切にできる……そういった「生きる力」に直結する心の強さは、普段の親子の会話の中で育まれるのです。

 特別にお金をかけたり、長い時間をかけたりする必要はありません。今日の一言を大事にすることで、子どもに未来の幸せをプレゼントできるのです。忙しい皆さんこそ、毎日の言葉を大切にしていただきたいと思います。

わが子に言ってしまう「マイナスの言葉」を「プラスの言葉」に代える方法

 とはいえ、現実は、「いつもやさしい言葉をかけるのはムリ」という方がほとんどだと思います。

 子どもに対してついマイナスの言葉が出てしまう理由について、客観的に知っておくと、 プラスの言葉に変えるヒントが見つかると思います。

 その理由としては例えば、

(1)大人の都合で子どもを動かそうとしている
(2)子どもと同じ土俵で戦っている
(3)わが子を他の子どもと比較している
(4)親が見本を示す前に言葉だけで教えようとしている

といったことが考えられます。