毎日バタバタと忙しくしていると、つい子どもにキツイ言葉をぶつけてしまったり、そもそも子どもと向き合う時間を長くとれなかったり……。「こんな育児でいいのかな?」と迷いがちな働くママ&パパたちへ、『子育てに「いいね!」の言葉 「ダメ!」な言葉』の著者・河村都さんが、充実した子育てを楽しむためのヒントを贈ります。

魅力ある人間性、大人になってから磨くのは難しい

 はじめまして。教育コンサルタントの河村都(かわむら みやこ)と申します。日々、幼稚園や保育園の現場を回りながら、幼児教育の教材開発に携わったり、悩めるお母さんたちの悩みに答える相談会(ママズトーク)を開催したりしています。

 私は幼稚園教諭としてキャリアをスタートし、NHK「おかあさんといっしょ」におねえさん役として出演していた時期もありました。短期大学などで幼児教育に関わってきましたが、長女を出産した後、縁あって某企業に入り、2007年まで25年ほど勤めていました。

 社内の人材教育責任者やお客様相談室室長としてキャリアを積む中で、たくさんの「人間」と関わる経験をしてきたわけですが、そこで私が深く実感したのが「魅力ある人間性というものは、大人になってから磨こうとしても難しい。幼児期の環境や体験こそが大切だ」という確信でした。

 そのテーマを追求しようと心に決めて長年勤めた会社を辞め、子どもたちの「豊かな感性・優しい心・考える力」が育つ環境づくりに取り組むようになり、今に至ります。幼稚園・保育園の現場でお母さんたちに直接会って悩みの解決に向けて一緒にお話しする「ママズトーク」を始めてもう7年が経ちました。

教育コンサルタントの河村都さん
教育コンサルタントの河村都さん

 お母さんたちの悩みは切実です。雑誌やテレビで見るお母さんたちは「いつも笑顔で、子どもに優しく接してあげられる素敵なママ」に見えます。「私ばかり、いつもイライラしているのかしら…」と不安が募って、その焦りからますます子どもに余裕のない態度をとってしまう。そんなジレンマを抱えている方ばかりです。

 実際、私の講演に来ていただくお母さんたちに「皆さん、今、私に見せてくださっているその笑顔、お子さんと一緒に過ごす夕方になってもキープできますか?」と聞いてみると、皆さん決まって苦笑しながら首を横に振るんですよ。