――逆に、店で扱わないようにしている商品はありますか。

村上 遊び方の設定が狭く、遊び方が限定されるものですね。子どもたち自身が体験や想像をしてストーリーだてて遊ぶことが大事だと考えているので、そうした余地の少ないものは好ましくないと思っています。同様の理由で、既存のキャラクター製品や電動のものも扱いません。

――おもちゃといえば、人気商品のはやり廃りは激しいですが……。

村上 実はボーネルンドでは、創業当時から30年以上変わらず扱っている商品がとても多くあります。もちろん新商品のヒットというのはありますが、店の主力商品は、数十年根強く人気のある定番商品です。

 時代が変わっても、子どもの成長段階、興味や遊び自体は、実は変わりません。だからこそ、はやり廃りの関係ない本質的な遊び道具が長く受け入れられるのでしょうね。

鮮やかな色合いで本物そっくりな「キッチンセンター」(左写真、1万4040円)や、木製ピースがゴム紐でつながり、握ることで変形する「スクイッシュ」(右写真、2916円)は、20年以上のロングセラー商品だ
鮮やかな色合いで本物そっくりな「キッチンセンター」(左写真、1万4040円)や、木製ピースがゴム紐でつながり、握ることで変形する「スクイッシュ」(右写真、2916円)は、20年以上のロングセラー商品だ

少子高齢化を追い風に急成長。3世代の集客ができる

――直営店オープン後から現在まで右肩上がりに成長されていますが、その理由は何でしょうか。

村上 私たちとしては、優れた遊び道具を提供し続けていて、それが消費者に受け入れられているからだと思っています。

 一方で市場環境も味方をしてくれました。少子高齢化で子育てへのこだわりが強くなり、子どもへの投資金額も上がっていることも追い風の1つだと思います。 “シックス・ポケッツ”と言われるように子ども一人に対して親、祖父母などお金を出してくれる消費者も多く、そういう世代は「子どもに与えるなら良いものを」と考えて来店します。良いものなら、少し多めのお金を出しても構わないという人が増ましたね。

――来店するのはどんな人たちが多いですか。

村上 子・親・祖父母という3世代で一緒に訪れることが多いです。こうした3世代のユーザーを集客できることは私たちの店の強みなのだと思います。

 さらに最近はアクティブシニアと呼ばれる心身ともに元気な高齢者の方々が、「頭の運動に」と自分用に遊び道具を購入されることもあります。しっかりとした木材を使ったものなど、質感やクオリティがアクティブシニアの方でも納得いただけるようです。

 ここ5年くらいで特徴的なのは、男性の来店が増えたことでしょうか。10年ほど前は女性の方が多かったのですが、今では父母一緒に来店される方も多く、男女比は半々程度。お父さんたちの子育て参加への意識が高まっていることを感じます。

(人気が急上昇している室内遊び場「キトキト」を取り上げる後編記事に続く)

(取材・構成/ライター 岩辺みどり)