食物負荷試験は標準的な検査ですが、多くの医療機関で行えるわけではなく、血液検査や皮膚テストだけで診断する医師も少なくありません。食物アレルギー研究会のホームページに、食物負荷試験実施施設が掲載されているので参考にしてください。食物アレルギーは最初の病院選びがその後の治療を大きく左右します。「日本アレルギー学会専門医」を選ぶこともひとつの目安です。
食物アレルギーもアトピーもぜんそくも、すべてアレルギー体質という土台の上にあるものです。赤ちゃんのときはアトピーや食物アレルギー、1~2歳で喘息、小学生で花粉症を発症するパターンが多く、次々にアレルギー症状が変わっていく様子から「アレルギーマーチ」と呼ばれています。
乳幼児期に食物アレルギーと診断されたお子さんには「ぜんそくになる可能性があるので住環境の整備を」「発症したら早めに適切な治療を」とアドバイスします。
赤ちゃんの腸管免疫機能が未成熟なために、食物アレルギーが起きるという考えに基づくものだと思いますが、現在は、赤ちゃんのころから食べられるものはどんどん食べていくことが勧められています。
離乳食は標準的な時期・内容で始めましょう。初めて食べる食材は、体調のいいときに、鮮度のいいものを少量ずつ与えます。母乳を介しての食物アレルギーについては、ほとんど影響はないと考えます。
気になる保育園や小学校の対応 生活管理指導表の提出は義務
「うちの園はアレルギーに対応しています」と言っていても、よく確認してみると重症な患者さんにとっては、園や学校のアレルギー対応が甘い場合もあります。園や学校のアレルギーの理解度をしっかりヒアリングし、こちらの状況を十分伝えることが大事です。
保育所では2011年、学校では2008年から、それぞれ生活管理指導表が導入され、それをベースにしたものが全国で使われつつありますがまだ徹底されていません。
●生活管理指導表はここからダウンロード(保育所におけるアレルギー対応ガイドライン/厚生労働省)
調布で起きた死亡事故を受けて、昨年度末に文部科学省が「学校では生活管理指導表の提出は義務」という方針を出したので、今後の普及に期待したいところです。また、加熱してあったり、少量なら食べられたりする場合であっても、園や学校では「完全除去」が推奨されます。
段階的な除去では現場も混乱しますし、複数のアレルギーが組み合わさると思わぬミスの原因にも。園や学校では「食べられるものは食べる」ではなく、「食べられないものは一切食べない」でOKです。
(ライター/中島夕子)