2014年6月17日、渋谷ヒカリエを会場に、日本経済新聞社主催「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット2014」が開催されました。基調講演のスピーカーは、ロンドン・ビジネススクール教授であり、新しい働き方を説いたベストセラー『ワーク・シフト』著者でもある、リンダ・グラットンさん。最新刊『未来企業――レジリエンスの経営とリーダーシップ』をプレジデント社から8月に発売予定。ロンドン在住。2人の息子がいます。500人が詰め掛けた会場でグラットンさんが行った、「未来企業―これからの『働きがい』の話をしよう」をテーマにした講演のダイジェストをお送りします。

107歳まで生きる人生 私達はどう働いていくのか

講演するリンダ・グラットンさん
講演するリンダ・グラットンさん

 これだけ多くの女性にお目に掛かれてうれしく思っています。今回は、皆さんの将来の話をしたいと思います。壇上から見る限り、今日は若い方が多いようです。皆さんの目の前には未来が広がっているのです。平均的な日本人は、これからの時代は107歳まで生きると言われています。

 ここで浮上するテーマが、長い人生、一体何をして生きていくのか、ということです。

 その答えの一部は、どのような働き方をしていくか――ということです。日本でも多くの方々に、私の前著となる『ワーク・シフト』をお読みいただきました。この本を書き終えて気づいたことがあります。私達は個人として、将来に対して備えることはできますが、それには半分の効果しかない。もう半分は、企業がやるしかないのです。

 現在、日本の女性も多くが職についています。安倍首相も、ずいぶん積極的に、女性に仕事もしてもらい、子どもも生み育ててほしいと思っているようです。

 その後、私は「未来の企業」に関する本の執筆を始めました。私や私の同僚は、執筆に際し、世界中の数々の企業と対話をし、研究を重ねてきました

 将来は予想ができないものなのです。ほとんどの技術や医療分野の専門家が言うように、20年後のことは分かっても、その先は未知の領域。私達は20年以後も生き延びていくでしょうが、その後のことはなかなか分かりません。

 世界はめまぐるしいスピードで変化していきます。より速く、エキサイティングさを増していく。それにつれ、課題も増えます。そうなった場合、企業はどうやって将来に立ち向かうのか。

 答えの鍵は、レジリエンス、つまり弾力性、または回復力にあります。企業として、もっと個人のレジリエンスを強化するためにはどうすればよいのでしょうか?

 企業が長年にわたって存在し、皆さんが活躍し続けるためには、次の3つのことが必要になります。1つは、企業が、社員がエネルギーを蓄え、弾力性を持ち続けるための仕組みを持つこと。2つめは、企業側が皆さんのような働き手の声に耳を傾けていくこと。3つ目は、社内で社員達が互いに結びつき、刺激し合い、導き合うような関係を構築できるような環境をつくること、です。

 これからの時代は、ぜひ、その3つを実行している企業を選んで働いてほしいと思います。満ち溢れるバイタリティーが、あなたの知性を高め、チームとのつながりを構築し、生産性の向上につながっていくのです。