小学生が「塾弁」なんてありえないと猛反対
尾島 俺は一方で私立中学なんて知りもしなかった人間なので、小学生が夜遅くまで勉強して、しかもうちで食事もしないで弁当を外で食うなんてあり得ないって妻に怒り狂ったわけ。
羽生 それが4年生ぐらいのことですか?
尾島 3年生のころかな。
羽生 早いですね。
尾島 大体小4から塾に行くのがスタンダードって言われています。結局うちの子どもは勝手に塾に行ってたんだよね。
羽生 知らない間に学習塾に?
尾島 ちょうど学童がなくなるタイミングだったりしたので、いつの間にか塾に行ってたんだよね。夫婦の間で合意は何もなく。だからコレはまずい例ね。でもまあスタートしちゃったものは途中で引きはがすわけにもいかないし、本人はその気になっているような姿も見せたりもしていました。
羽生 当事者である子どもさんは、4年生ぐらいから「俺は頑張って合格するんだ!」という感じになったのですか?
尾島 まあ、「受験はするんだ」ぐらいな感じだね。塾に行ってる子は基本中学受験するから、何となくなく感化されてしまうものなのかもしれない。
羽生 中学受験にはいつまで反対で、いつから一緒に頑張ろうというふうに?
尾島 ずっと反対は反対よ、心の奥底では。
羽生 そうなんですか!? 意外です。今でもその気持ちですか?
尾島 今でも受験したのとしないのと、どっちがよかったのかよく分からない、正直言って。完璧な答えなんてないので。
羽生 受験して、志望校に合格したのにですか?
尾島 それだけ見れば良いようにも見えるけど、そうじゃないルートでも、もっと楽しくやれたんじゃないのかなって思うもこともある。何とも言えないな。親はいろいろ悩むけど本人が納得して、それで一番よかったと思っているんだから、まあ、いいやというのが最終的な自分の中の思いかな。
「落ちたら地元の公立」は1秒たりとも思わなかった
羽生 その受験の間はちょっと気持ちを考え直して、どうせやるなら勝たせたいって思われたんですか?
尾島 4年生から6年生の3年間あるわけだけど、最初の4、5年生のうちは本人も全く何にもしてなかったし、俺たちも何もしてなかった。もう、放置ですよ。親も試験があっても関係なく旅行に行ったりしてた。もう全然ダメな感じだった。それが、いよいよ6年生が近くなったころになって、ハタと本人も俺たちも思った。これはまずいかなと。
羽生 ダメだったら公立中学というのも考えましたか?
尾島 地元の中学がダメだからという理由で受験する人も多いよね。うちの周りの中学はすごくいい中学だったけど、中学受験するとなったら、絶対に希望校の私立に行くことしか考えなかったな。落ちたらこうだとは1秒たりとも思わなかった。
羽生 やっぱりそんなこと考えないほうがいいんですね、どうせやるなら。
尾島 そう思いますよ。「試験に落ちても、近所の公立はいいから」というようなことは考えないほうがいいと思うけどね。