『だれも教えてくれなかった ほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』の共著者で、夜間保育&学童保育所を運営する認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさんと、松蔭大学・経営文化学部准教授の田中聖華さんに、ママの働き方について聞いていきます。今回は、前回記事「女性ならではの人生の波を楽しんで仕事の継続を」に引き続き、小栗さんと田中さんの対談を掲載します。今回のテーマは、「あっとほーむを開設して16年経った今、以前と今のママ達の育児姿勢を比較して思うこと」です。

若者の専業主婦志向は本物か?

松蔭大学・経営文化学部准教授の田中聖華さん
松蔭大学・経営文化学部准教授の田中聖華さん

―― 近頃、アメリカでも『ハウスワイフ2.0』という本が話題になり、日本でも若い女性の間で専業主婦志向が強まっているという記事が新聞や書籍で話題になりました。仕事と育児の両立に奮闘するDUALパパ&ママには意外な志向性に思えます。それは本当の傾向なのでしょうか?

田中さん 確かに、国立社会保障・人口問題研究所による出生動向基本調査の「結婚と出産に関する全国調査 夫婦調査」によると、「専業主婦を理想とする人」が2002年を境にわずかながら増加しています。しかし、それはあくまで理想であり、実態としては、専業主婦は減り続け、両立コースが増えているのが現状です。

出典:「第14回出生動向基本調査 第3章『希望の結婚像』図3-2」

 理想はあくまで理想であって現実とは異なります。専業主婦が主流だった時代の子ども達は、潜在意識の中で専業主婦をロールモデルにしがちですが、仕事と子育てを両立する母親を身近に見てきた子どもの理想は両立型になります。だから、あっとほーむに通う子ども達にとってのロールモデルは両立家庭になりますね。両立する両親をロールモデルとする子どもたちが増え続け、これからもっと両立家庭が一般的になっていくはずです。

認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさん
認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさん

小栗さん 今、「専業主婦志向が増加している」という記事を読むと、女性のあまのじゃくな気持ちを感じてしまいます。私も何となくその気持ちに共感したりもして……(笑)。

 ひと昔前は、女性が結婚や出産をしたら、仕事を辞めるのが一般的でした。だからこそ、「仕事を続けたい。頑張りたいんだ」という人達が、時代の先陣を切ってやってきた。

 今度は仕事と育児を両立するスタイルが30代に浸透してきた。そして、これからは「働き続けるのが当たり前」になっていく。すると、20代の人達は社会の流れに反発して「ずっと働くなんて嫌だ」と言う。いつの時代も若者の中のある一定層は、社会に反発するものなのです。