『だれも教えてくれなかった ほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』の共著者で、夜間保育&学童保育所を運営する認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさんと、松蔭大学・経営文化学部准教授の田中聖華さんに、ママの働き方について聞いていきます。今回は、田中さんの話を紹介します。テーマは、「女性ならではの人生の波」です

70歳まで現役で働いた母から授かった問題意識

インタビューに答える田中聖華さん
インタビューに答える田中聖華さん

 私の母は小さい会社の経理担当として、70歳まで働いていました。母がまだ若いころ、その横顔を見ながら、私は幼心にある疑問を持っていたのです。

 「お母さんは、お母さんがいなければ会社が動かないほどの重要な仕事をしている。それなのに、男の人より給料が低いのはどうしてなんだろう? 社会の仕組みはどうなっているんだろう? 将来、自分でそれを調べたい。できれば、その現状を変えたい」と思っていました。

 それがそのまま、今の研究テーマ「女性自身を生かすキャリア開発」につながっています。

 私は、大学での研究職という仕事にたどり着くまで、様々な変遷を経てきました。ビジネス系秘書科の専門学校を卒業した後、一部上場の総合商社・正社員として営業事務を担い、その後、転職して秘書の仕事に従事したのです。でも、母を見て感じていた“疑問”を自ら体験するような状態でした。

 「もっと勉強しなくては」と考えて退職し、短大の秘書科に入学し直しました。卒業後に再度就職しましたが、やはり納得できない部分があって、四年制大学へ入ることに。大学を卒業するに際し、在学中に結婚した夫から「その年で大学卒じゃ、かえって仕事がないだろう。大学院に進むべきでは?」と勧められ、大学院の経営学研究科に行きました。

 そこで、研究職の道に進み、女性のキャリアについて探求していくことを決意しました。

 短大卒業後、大学や大学院時代通して、契約社員や派遣社員として働きながら勉強を続けていたため、様々な働き方を経験しました。通った学校も様々で、文部科学省管轄の教育機関で通っていないのは唯一幼稚園だけ。経験は豊富です(笑)。