こんにちは。日本企業社会に「イクボス」旋風を巻き起こし、子育て社員の力になりたいと日々奔走している安藤哲也です。

 前回紹介した「子育て社員が上司に言われてドン引きした言葉」は、企業社会の現状を憂いたくなるとんでもない告白ばかりでしたね~。でも、今日は待ってましたの感動バージョンです。日経DUALが独自に実施したアンケート(※)で集まった「育休前後にボスに言われて感激した言葉」をご紹介します。

 言われた本人がうれしかったと言っているのだから、どの言葉もイクボス度100点だと思います。しかし、僕はこの連載ではイクボス養成塾の塾長という立場上、よりハイレベルなイクボスが育つように、「こういう言い方ができればさらによかった!」というあえて辛口な突っ込みも入れさせてもらいます。志は高く!

※2014年4月16~30日にインターネット上で実施。回答数121人。うち女性は74.4%。平均年齢38.5歳。

 では早速、いってみましょう。

イクボスは職場に堂々と「ヒューマニティー」を持ち込める

<(自分または妻が)妊娠中に上司に言われてうれしかった言葉>

切迫早産で急きょ一週間休まなければならなかったときに、上司にその旨を伝えたところ、「もちろん子どもの命が一番大切だから、心配せず、休みなさい」と嫌な顔一つせず言ってくれました。この人の部下で本当によかったと思った。
(30歳女性、人材サービス、営業・販売)

 →かつて職場は「戦場」と言われ、「家庭の話など持ち込むべからず」という雰囲気が漂っていた時代がありました。今でも、そんな職場は案外多いかもしれません。しかし、職場に堂々と「ヒューマニティー」を持ち込むのがイクボスです。

 「Child First(子どもが何よりも大事で優先すべきである)」という姿勢をハッキリと示すことで、部下は安心して仲間に仕事を任せられる。そして、戻ってきた時に「きちんとお返ししよう」と思えるロイヤリティーも高まる。結果、パフォーマンスが上がるというわけです。

妊娠したことを気まずく感じていたときに、部門長(上長である課長の一つ上のポジション)に、「順番だから、気にする必要はないよ。でも、ちゃんと帰ってきてね」と言われました。気持ちが楽になりましたし、「戻ってきて」と言われたことで、戦力として見てもらえている気がしてうれしかったです。
(34歳女性、通信サービス、営業・販売)

 →妊娠・出産、介護、家族の病気など、「不測の事態」は誰にでも起こり得ること。でも、その時々の状況の中で、「できる限り、職場の役に立てる存在でいたい」という気持ちは誰でも持っているんですよね。その気持ちに寄り添って、適切に「期待」を伝えられることはメンバーのモチベーション維持のためにとても重要ですね。

私は職場で初めての男性の育休取得者でした。「そうした経験をした人がいたほうが、社員の多様化につながり、業務の幅が出る」と言われて、うれしかった。
(33歳男性、教育、事務)

 →ロック!(心に響いた効果音) これぞ、イクボス魂。本当の意味での「ダイバーシティー経営」とは何であるかを理解している人の発言ですね。

男性上司から男性社員へ送られるエールは身に染みます
男性上司から男性社員へ送られるエールは身に染みます

 個人を励ます言葉も大事ですが、育児をしながら仕事をするメンバーの存在そのものがチーム全体に与えるプラスの効果を、中長期的な視点からサラリと言える。イクボスを目指す皆さんには、ぜひまねしていただきたい言葉です。

 さあ、どんどんいきましょう!