学童保育の基本について学ぶ短期集中連載。最終回は「学童がこれから何が変わっていくのか」。前回、学童の歴史を振り返りましたが、長い歴史を持つ学童保育が今がまさに、変化のタイミングを迎えています。40年にわたり学童保育に関わり、厚労省の「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」にも委員として参加した児童健全育成推進財団企画調査室の野中賢治室長にお話を聞きます。(第1回「学童保育って何?」、第2回「学童本来の役割って」、第3回「学童保育の基本のキ(3)学童はなぜ生まれたのか」もご覧ください)
――前回のお話しで、学童が現在抱えている問題は実は以前からあったものだということが分かりました。
保育所や児童養護施設には、最低限こういうことをしましょうという基準が決まっていますよね。学童保育はそれをこれから決めるので、今の時点では学童保育本来の役割ができているところもあれば、そうでないところもあります。
今後は“子ども目線”で学童保育が再検討される時期
また、今までは社会的な必要性が優先されていて、子どもの目線での議論が少なかった。いわゆる“小1の壁”を乗り越えようと、量的な整備だけが問題になっていた。いざ入ってみても、子どもが行きたくなくなる場合があるということは、まだそんなに語られていないですよね。
――「学童に入ったけれど、色々な問題があってやめてしまった」という声も聞きます。
以前、私も国民生活センターで中途退所児童の調査をしました。途中でやめてしまった子の話を聞くと、切なくなります。いろいろ問題を感じていても、結果的に、ずっと我慢してしまう子もいるんですよね。親に心配かけまいとして。『3年間、本当に行くのがつらかったけど、行かないとお母さんを心配させるから我慢していた。やっとやめられる』。こんな風に言った女の子もいました。
統計的に見ると、こうした子どもも含んでいる。人数が多いところだと、10%~15%の子どもが年度の途中で退会しています。その中には、転居や親の仕事をやめたケースもあるでしょうけど、やはり環境になじめないというケースもあるわけです。“入れるか入れないか”、ということばかりでなく、これからは“入ってから”のことを問題にすべき時期ですよね。