子どもを撮っている自分の表情も撮りたい
テレビ番組を見ていると、アナウンサーや出演者が隅の小さな画面に映し出されることがある。美味しそうな料理に舌鼓をうつ俳優や、絶叫アトラクションに挑むタレントの怯えた表情が映し出されると、自分もその場に参加しているような気分になってくるから不思議だ。
こうした小画面のことは「コーナーワイプ」、略して「ワイプ」と呼ばれている。筆者は以前からワイプ付きの写真や動画を作成したいと思っていた。というのも、大人になってから幼い頃の映像を見た人が「自分の映像ばかりじゃなくて、その時に家族がどんな表情をしていたのかも知りたかった」と語っているのを、あるコラムで読んだからだ。
たしかに過去の写真を振り返ってみると、子どもだけが写っている写真はたくさんあるのに、自分や妻も一緒に写っているものは意外なほど少ない。
カメラを手にしているのが私か妻のどちらかなので、それも当然といえば当然のこと。だが成長した子どもたちを想像しつつこれらの写真を見ていると、シャッターを切ったときの撮影者の様子を知りたいと思う気持ちも分かる気がする。
このとき親は笑っていたのか、私に向かって何かを語りかけていたのか、それとも撮影に集中して真剣な表情をしていたのか……。
被写体と撮影者を同時に撮るなんてできるのか
「その時に家族がどんな表情をしていたのかも知りたかった」という話を読んでから、なるべく自分の表情も写真に残そうと意識してはいる。