ストーリーカメラが追加されたことで、これまでは別々に撮った写真を合成するしかなかったワイプ付きの写真をカメラ一台で手軽に撮影できるようになった。子どもの様子に一喜一憂する親の表情を一枚の写真に収めてもよし、子どもに持たせて虫や草花など興味のある被写体を撮影した瞬間の真剣な表情を残すのもよし。ちょっとした機能の追加に見えるようでいて、これまで記録できなかった“写真の手前側”も残せる大きな進化なのだ。

 操作は一般的なカメラと変わらず、被写体にカメラを向けてシャッターを切るだけでいい。撮影者を写す「ストーリーカメラ」のシャッターもメインのカメラと同時に切られる。ストーリーカメラのレンズは液晶ファインダーのすぐ上にあるので撮影者の目線がズレにくいのも嬉しい。

 撮影した写真を見ると、ワイプの中にニヤニヤした自分の顔がしっかり記録されていた。撮影向けではない生の表情がずらっと並ぶので、N100を使うときは撮影者自身の顔にも意識を向けたほうがいいかもしれない。いや、生の表情のほうが後から見たときに面白いか。

わが子の撮影に没頭する親バカモードの自分を、うっかりストーリーモードで撮ってしまった一枚
わが子の撮影に没頭する親バカモードの自分を、うっかりストーリーモードで撮ってしまった一枚

 ともかく、念願のワイプ付き写真をただシャッターを切るだけで撮影できる手軽さが嬉しい。最近のスマホやタブレットはカメラが2つ付いているのも当たり前なので、これからのコンパクトデジカメにもこの機能を標準装備してもいいのではないだろうか。

 実際、どんな写真が撮れるのか。撮るときに戸惑うことはないのか。それを確認すべく、家族旅行にN100を持参し、実際にワイプ付き写真を撮ってみた。ストーリーカメラは写真にどんな変化を付けてくれるのだろうか。

娘の顔は映っていないけれど、親の顔は映っていた(笑)
娘の顔は映っていないけれど、親の顔は映っていた(笑)

(つづく)

(文・写真/松村武宏)