再生可能エネルギーを「安定性・規模・経済性」という視点から考えてみる

―― 原発を安全に動かす仕組み作りには膨大なコストが掛かりそうです。子どもを持つ読者の中には、同じコストを掛けるなら、再生可能エネルギーの開発に注力したほうがいい、という意見を持つ人もいます 。

ジャッジ それはどうでしょうか? 再生可能エネルギーは良いアイデアですが、実現はまだ難しいのではないでしょうか? 電力供給の安定性や規模、現時点での経済性を考えるとそのように言わざるを得ません。

 まず安定性については、太陽光発電も風力発電もクリーンなイメージですが、日が照っていない時間帯や風が吹いていないときは発電できません。そのバックアップのために原発などが使われているのです。

 規模については、今の再生可能エネルギーは家庭や小さなコミュニティーで使うのには良いですが、産業用に大規模発電ができる体制にはなっていません。

 経済性については、将来、再生可能エネルギーのコストが下がれば広く社会全体で使うことに現実味が出てくると思いますが、今すぐという話ではないでしょう。原発が止まっている今、日本がLNG(液化天然ガス)を高額で輸入していて、経済的に損失を被っていることは大きな問題です。総合的に判断して、短期的には原発が必要。長期的には再生可能エネルギーもあり得ると考えています。

―― 原発事故後、放射能の影響を気にする人は少なくありません。特に子どもを持つ親は心配しています。

ジャッジ 難しいテーマですね。ただ、福島の線量より、私が今回、ロンドンから東京に来る際、飛行機で浴びる線量のほうが多いのは事実です 。放射線の中には良い形で使われているものもあるのは、レントゲンのX線、ガンの治療やMRIなど、皆さんご存じの通りです。放射線は目に見えないので、恐ろしいと感じやすいのですが……。