困難にもめげず、企業・組織の重役も歴任

―― 上司のフランクさんといい、サポートしてくれた人が多かったのでしょうか。(前記事「女性活用には、まず家庭内のガラスの天井を破れ」参照)女性が働くのが難しい時代、困難はありませんでしたか?

ジャッジ ありましたよ。1980年代、香港の銀行で働いていたとき、前任者の男性からあからさまに意地悪をされました。前任者の送別会で、前任者は私を招待客に全く紹介してくれなかったのです。

 女性が自分の後任になることが、よほど嫌だったのでしょう。周囲の人によっぽど私の悪口を言っていたようで、後から「君は彼が言うほど悪い人じゃないね」と色々な人から言われました。

日本の原子力改革監視委員会での役割

―― そういった困難に負けず、企業法務専門の弁護士事務所、金融業界を経て英国に渡って原子力公社の名誉会長に着任されました。

 そして今、日本で、東京電力が設置した原子力改革監視委員会で副委員長を務めています。今のお仕事について、教えていただけますか?

ジャッジ 委員会自体は東京電力が作ったものですが、東電からは独立した組織です。トップを務める委員長は米国の原発専門家(元米国原子力規制委員会委員長のデール・クライン氏)、副委員長が私、そして委員には日本のビジネスパーソンがよくご存じの大前研一氏も名を連ねています。

 私のような外国人女性を高いポジションに就けたことの意義は大きいでしょう。

 この委員会の目的は、原子力発電の安全を確保することです。女性は原発に反対する人が多いので、同じ女性である私が未来志向を持って彼女達にきちんと説明することが大事だと思っており、非常に責任を感じています。1~2カ月に1回の頻度で日本に来て、安全確保の仕組み作りが進んでいるか厳しくチェックしています 。