こういう効能があることも手伝って、昨年の夏ごろから3世代旅行マーケットは活発に動いています。

 少しマーケットの話をすると、本来は、団塊世代が60歳を超えるタイミング(2007年頃)に旅行市場は活発化すると見られていました。でも、年金支給開始年齢が65歳になって勤続者が増加したため、さほど大きい動きにはなりませんでした。その団塊世代が最近になってやっと年金の受給が始まり、仕事を引退。時間とお金に余裕が出たことから、旅行マーケットを刺激しています。

 また、東日本大震災後、「家族の絆を育もう」「『やりたいこと』はいつの日か、ではなく、今やる」というマインドが起こっています。3世代旅行マーケットの活性化も、この影響を受けたものだと言えるでしょう。

企画の段階で、できるだけ関係者全員を巻き込む

 では、3世代旅行を企画する際の欠かせないポイントとは何でしょうか?

 それは、「企画の段階で、できるだけ関係者全員を巻き込む」ということです。

 旅程を誰か一人、もしくはママ・パパ二人などで計画することは多いと思います。しかし、「このプランにしましたよ」と一方的に進めてしまうと、旅先で不都合なことが起きた場合、トラブルにつながりがちです。「食事はレストランのビュッフェではなくて、部屋食が良かった」「ハイキングより、ショッピングに行きたかった」…など、遠慮のない身内だと、小さな不満が大喧嘩に発展することもあります。

 ある程度の旅程を決めたとしても、選択の余地は残すこと。そして、関係者の希望を聞くことを心掛けましょう。「プランは全員で考えましたよね」といった雰囲気をつくることが大切なのです。「食事はビュッフェがいいか、部屋食がいいか」「ベッドがいいか、畳がいいか」といった意見を聞いて、それを組み込んでいきます。どうしても意見が合わない場合は、子どもや祖父母といった弱い立場の人の意見を取り入れるほうが良いでしょう。ママ・パパ世代の希望は、3世代旅行では控えめに。

 宿の部屋の取り方も大事です。日常の距離感にもよりますが、日中は一緒に行動しても、部屋は別々、あるいは、コネクティングルームのほうが落ち着くという声も多く聞かれます。