本屋さんに行くと、リーダーシップやマネジメントに関する本がたくさん平積みになっていますね。それを熱心に読んでいる人を見ると、「もし家に子どもがいるなら、本を閉じて子どもと関わった方がよほど力がつくぞ!」と思います。

 私はずいぶん多くの人と仕事をしてきましたが、子どもと接するときに一番自分が試されると思います。幼児期の子どもと来たら、それまで一緒に仕事をしたどんな話の通じない人よりも大変でしたし、一日24時間をどうやってやりくりするか、ぐるんぐるんに頭を使う毎日でした。

 どれほど考えても予測がつかないし、予定が立たない。臨機応変に、予想外の出来事に動揺しないように。綱渡りの毎日の中で、次第に変化に対する耐性がつきました。鍛えられたなあ……!

子どもが「人」になっていく成長を間近で見る貴重な経験

去年の母の日に息子達がくれたちいさなミニバラが、たった一年で5倍くらいに大きくなりました。咲かせた花はすでに30輪以上!すごい成長っぷりに、この一年の一家の変化を思って感慨一入です。
去年の母の日に息子達がくれたちいさなミニバラが、たった一年で5倍くらいに大きくなりました。咲かせた花はすでに30輪以上!すごい成長っぷりに、この一年の一家の変化を思って感慨一入です。

 子どものペースに巻き込まれっぱなしだった幼児期を過ぎて、話が通じるようになってからも、落ち込んだり拗ねたりする子どもにどのように接しようか、自尊心の壁にぶち当たってとっ散らかっている子どもの悩みにどう答えようか、宿題やら片付けやらのしなくちゃいけないことの優先順位をどうやって決めさせようかなどなど、次々と課題が。日々成長する子どもの変化に対処する苦労の中には、後進指導の基本が全部詰まっています。

 人が人になっていく様子を間近で見るのもいい経験です。成長する子どもをじっと見ていると、人には脳の成長に連れて様々な複雑な感情が生まれ、葛藤するものなのだというのがわかります。聖人と悪人がいるのではなく、誰の中にも自然発生する尊さも卑しさもあるということがわかります。問題はその負の感情や欲望とどのように付き合っていくかということなのだなと。