子どもを塾に通わせる──そのきっかけ、理由は家庭によって様々です。この連載ではフツウのママ&パパに塾に通わせようと思った理由、塾に通わせてみて初めて分かったこと、驚いたことなど、等身大の体験談を紹介します。今回は、この春、中学受験を終えたばかりの渡辺さんと高橋さんの後編です。小学生の同級生だった娘さん2人は塾を通じて何を学んだのでしょうか?

前編「子どもの塾通いで親の時間がなくなりました」もご覧ください

■お話を聞いた人
渡辺尚子さん(47歳)(仮名) 娘さんはこの春、私立の中高一貫校(第一志望)に合格。塾に通った期間は小3~小6(正確には、小3の12月から)。
高橋美佳さん(44)(仮名) 娘さんは私立の中高一貫校(第三志望)に合格。弟(8歳)も姉(12歳)と同じ塾に通っている。塾に通った期間は小3~小6。

塾のお弁当も自分で詰められるようになった

──塾に通ったこと、受験したことで良かったことはありますか?

渡辺さん 子どもが精神的に自立したことです。小さいころから母親の後をついてくるような子で、私が出かけるときは「何時に帰ってくるの?」、何かするにも「これしていい?」と、いちいち確認してくるような子だったんです。ですが、塾に行くようになると、学校から帰って自分で塾の準備もしなきゃいけません。それからは自分で時間や行動の管理ができるようになりました。ただ、小3の終わりから塾を始めたので「高学年になってしっかりしただけ」と言われてしまえばそれまでですが。

高橋さん お弁当も自分で詰めていたんだよね。

渡辺さん 「おかずは用意しておくので、ごはんは自分で詰めてね」って。ささいなことかもしれませんが、そういう受験に向かうまでの日々の積み重ねによって、自分に自信が持てる子になったと思っています。

──特に変化を感じたのはどんなときですか?

渡辺さん 私と対等に口を利くようになったときです。母親(私)との人間関係が変わったというか。例えばリレーの選手にずっとなりたいって言っていたんです。親が「えー。無理なんじゃないの?」と言ってみる。今までなら「そうかな……」としょぼんとなっていたのが、「そんなことないよ!」と言い返せるようになった。それまでは口答えしたこともなかったのに。おっ、こいつ自信ついてるなと。そして小5、小6では本当にリレーの選手になったんです。他にも、クラス委員になったり、友達が立候補した選挙の応援演説をしたりなど、色々なことをやっていました。

──積極的ですね!

渡辺さん 基本的には日常的なささいなことなんです。「遅くまで起きていて、次の日起きれるの?」と言うと「起きれるよ」。で、ちゃんと起きてくる。「勉強しないと散々な結果になっちゃうよ?」で、ちゃんと結果を出す。別の教室に行って、いつもと違う先生の授業を受けることになっても、一人で電車に乗って、別の教室に通える。親としては「あれ? そういう子だったっけ?」という感じですね。

──高橋家は?

高橋さん うちはもともと生意気なので(笑)、子どもがすごく変わったということはないですが、とにかく本人が最後まで楽しく塾に通えたのが良かったです。同じ目的を持った同じレベルの友達ができ、クラスの男女の仲も良かった。学校とは違った面白さがあったみたいです。

 そういえば、朝の早起きができるようになってきました。受験を終えた春休みも早起きする必要がなかったのに、勝手に起きてきました。中学に行くとさらに早起きになるので助かります。