昨年のクリスマスイブに、私は安倍首相に会う機会を得た。数分だけではあったが、図を使って、テレワークの必要性を訴えた。

 総理は、女性が働きやすく活躍できる社会づくりに力を入れてくださっています。とてもありがたいです。ただ、女性が10人いれば、仕事に対する思いもさまざまです。

 「専業主婦を望む女性」もいれば、「適度に働きたい女性」もいます。そして、「しっかり働きたい女性」もいます。

 育休3年や育児給付金の増額など「休む」ための施策も大切ですが、「しっかり働きたい女性」にとっては、保育園の待機児童対策や病児保育などの「働く」ための施策が必要です。さらには、通勤時間を家族のための時間にしたり、子どもが寝てから仕事をしたりできる「柔軟に働く」という選択肢も必要です。

 そして、この「しっかり働きたい女性」が、総理が推進されている「女性登用」の対象者の候補です。彼女たちが活躍することで、企業も日本も強くなります。

 また、「柔軟な働き方」が可能になれば、これまで休みにくい状況にあった男性社員の育児参加も促進できます。テレワークのさらなる推進を期待します。(図2)

図2 希望する「働き方」や仕事への思いはさまざま
図2 希望する「働き方」や仕事への思いはさまざま

 私がこんな生意気なことを言うまでもなく、安倍政権は発足以来「テレワーク」を推進している。しかし、その動きがまだ国民にまで届いていないのも事実。そんな中の「残業代ゼロ」報道で、冒頭のような「思い違い」が発生するのは何としてでも避けたい。

東京オリンピックまでに、在宅勤務者が激増する?!

 テレワークの定義は、「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」だ。このような働き方を週8時間以上している人は、テレワーカーとされ、2013年の国土交通省の統計では、労働者の17.3%がテレワーカーとなる。

 しかしこの数字には、自分で働き方を決めることができる自営業者や、出張等で移動中に仕事をしている社員、さらには、会社が認めていない「サービス在宅残業」も含まれる。