スーパー保育士と呼ばれ、現在は「KANSAIこども研究所」の所長でもある子どもコンサルタントの原坂一郎さんに、「パパとお出かけ」することの素晴らしさやアドバイス&注意点についてお話を聞く「パパとお出かけのススメ」シリーズ。「パパと子どもだけで『ママ抜きお出かけ』しよう」、2回目「パパとお出かけ、よくある3つの失敗にご注意」に続く3回目は「パパと2人で過ごす経験をたくさんさせてあげて」。パパならではの関わり方についてアドバイスしてもらいました。

ポイント1

【公園や広場にお出かけしたときの関わり方】

 公園にお出かけするときには、ボールを1個、持って行きましょう。男性はいくつになっても、ボールひとつあったら人数関係なしにいつでもどこでも遊べる存在です。2歳までなら、ボールを転がして「ころころころ~、まてまてまて~!」と追いかけさせるだけで子どもにとっては楽しい遊びになります。ボールは小さいボールでも、野球のボールでもドッジボール、サッカーボールなど、何でもかまいません。とにかく、家にあるボールでいいんです。

 3歳くらいからは、1mくらい離れたところでキャッチボールしてみるのもいいでしょう。5歳以上になったら4~5mくらい離れてでもできるようになります。

 女の子でも、もちろん楽しく遊べます。特に女の子は成長と共に女性の世界で生きていくことになって、男性的な文化を経験しなくなってしまいますから、敢えてまだ幼いこの時期にパパが一緒に関わって遊んであげましょう。子どもは男の子・女の子関係なく、パパならではの男文化を何も決めつけることなく一緒に楽しめばいいんです。男の子だからとか女の子だからとか、考えすぎる必要はないと思います。

 それと、公園や広場などで私がオススメしたいのは、とにかく“走る”ことです。子どもって、走ると開放感で必ず笑顔になるんですよね。100人が100人、走ると笑顔になるんです。ただ、無意味に走ることはできません。

 そこで2歳以上になった子どもとの遊びとして提案したいのは、「とつぜん鬼ごっこ」です。

 「今から鬼ごっこしよう!」とか、どっちが鬼だとかいっさい、言いません。ただ、突然、「まてまてえええ~!」って追いかけるんです。すると、子どもは絶対に「キャー!」って叫んで、笑顔で逃げ出します。それが、とつぜん鬼ごっこです。

 ただ、突然、「まてえええ~!」と追いかけるだけ。それだけで子どもはとても楽しいし、笑顔になります。こういう遊びは、やっぱりママよりパパのほうが得意ですから、どんどん積極的に仕掛けて遊んで欲しいと思います。

 3歳くらいになったらタッチされたら鬼を交代するといった鬼ごっこのルールがわかるようになってくるので、ルールに則った鬼ごっこをするのでもいいでしょう。この遊びは6歳くらいまでなら大喜びします。小学生くらいになったら、友だちになったつもりで、複雑なルールを一緒に作って遊ぶのもいいと思います。

 鬼ごっこなどあまりしたことのないパパに「鬼ごっこするときに何かコツなどありますか?」なんて聞かれることもありますが、そうやって子どもと遊んでいる時点で、パパとしては100点満点中90点レベルなんですよ。細かいことはどうでもいいんです(笑)。

 新米パパの場合、子どもとはしゃいで遊ぶのが恥ずかしいと思うパパってけっこういるんですよね。でも、そんなパパでも、同僚や学生時代の友人たちと海水浴に行ったら、いくつになってもはしゃぎまくったりふざけたりしていると思うんです。それと同じノリで子どもと遊べばいいんですよ。ただ、“遊んであげている”というのではいけません。自分も楽しみながら一緒に遊んでいる、という感覚を忘れないでください。

 もうひとつ、子どもとこれから遊ぼうという時に「今から何をしよう?」と聞くパパが多いのですが、そうではなく、子どもが今やっている遊びに“自分が参加する”感覚のほうがいいと私は思います。もし、砂場で遊んでいるのであれば、その遊びを“盛り上げにいく”のです。

 「こっちに来て一緒に砂場遊びで山を作ろう!」などと誘う必要はありません。子どもが今やっていること、興味あることに参加するといった感じです。その後、砂場遊びに飽きて今度は鉄棒に行ったなら、付いていってそこに参加する。パパは、子どもが今やっている遊びの“盛りあげ係”なんだと認識するのがいいんじゃないでしょうか。

 もちろん、そういった盛りあげ係というのは、パパの方がうまい。鉄棒でブラブラさせて遊ぶにしても「パパが20まで数えるから、それまでに落ちちゃダメだよ〜!」と言ってぶら下がらせて、「いーち、にーい、さーん……、はい落ちたあ〜!」ってキャッチしたりね。

 芝生スペースがあったら、パパはそこに寝っ転がるだけでもいい。パパの身体をよじ登って、お腹の上をハイハイして越えていく。3歳以下の子どもにとって、パパの身体は大きな山脈なんです。

 私が日頃からよく言っているのは、“パパの身体はジャングルジム”ということです。寝っ転がった身体をよじ登ったり、膝を立てたら跳び箱にもなる。もっと大きくなったら、腕にしがみついたところを持ち上げたり、クルクル回ったりもできる。動くこともできるジャングルジムなんです。こういった遊びというのはパパならではの関わり方なんです。