手間いらずを選ぶか、ランニングコスト軽減か

──性能的にはどちらが優れているのですか?

 掃除機の性能を評価するポイントは大きく分けて3つあります。

 1つめが集塵力。ゴミを集める力ですね。

 2つめは、吸引力がどのくらい持続するか。ゴミを捨てなくて掃除機の内部にゴミがたまっても、ゴミを集める力が変わらないか、です。

 3つめは排気のきれいさ。

 最新モデルの場合、1と3はサイクロン式と紙パック式で大きな差はありません。ただ2の「ゴミを捨てなくても吸引力がどのくらい続くか」は異なります。紙パック式はゴミがたまる紙パックを通して空気を排気します。なので、紙パックの中にゴミが大量にたまると、ゴミが障害物になるため空気が通りにくくなり、吸引力が落ちるのです。サイクロン式はそういうことがありません。

──そうなると、忙しくて小まめにゴミを捨てられないDUAL世帯は、ゴミがたまっても吸引力が変わらないサイクロン式を選んだほうがいいのでしょうか?

 そうですね。ただ、紙パック式はゴミが紙パックの中にたまるので、一切ゴミに触れなくてもいい、というメリットがあります。サイクロン式は、ダストカップにたまったゴミを捨てるときにホコリが舞うので注意が必要です。そう考えると、何も考えずにさっとゴミを捨てられる紙パック式のほうが忙しい家庭に向いている、と考えることもできます。

 また紙パック式は紙パックを交換しなくてはいけないのでランニングコストがかかります。一方サイクロン式はかかりません。しかし、サイクロン式は空気を逃がすフィルターの掃除が必要になります。紙パック式は、そういった作業は必要ありません。

 ゴミを捨てるときに気をつかわずに簡単に捨てられる「紙パック」を選ぶか。それともゴミ捨てに多少手間がかかる分、コストを削減する「サイクロン式」を選ぶか。

 どちらを選ぶかは、何を重要視するか、考え方次第です。

──悩ましいですね。

 ただ家族にハウスダストアレルギーの方がいる場合は、紙パック式を選んだほうがいいでしょう。ゴミを捨てるときにホコリが外部に出ませんから。

──アレルギーを考えると排気も気になります。

 そうですね。排気は集塵方式というよりメーカーによって考え方が違います。例えば、日立と三菱とは0.3μmのゴミを99.999%逃がさないとうたっています。これは、1万個のホコリのうち、1個しか逃さないという意味と一緒のことです。業界的にはこれを「ファイブナイン」と言います。一方で99.9%というメーカーもありますが、これは1万個のうち100個が逃げることになる。また、対象となるゴミの大きさが0.3μmではなく0.5μmということもあります。アレルギーが心配な場合は、そのあたりをしっかりと見たほうがいいですね。

サイクロンと紙パック式どちらを選ぶかは難しいところ
サイクロンと紙パック式どちらを選ぶかは難しいところ