今の共働き世代は、どんな考え方やライフプランを抱いて、家を買おうとしているのでしょうか? ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏が、レッスン・相談に訪れる人たちの等身大の姿をリポートします。

 先日、自分が運営するファイナンシャルプランナー(FP)の事務所「シェアーズカフェ」に訪れたのは安野ご夫婦(仮名)。2歳と4歳の男の子を連れての来店だ。この連載記事で案内している「相談者募集」を読んだ上で応募したという。(募集は記事の最後で案内しています)。

 安野夫婦は、の年収が1400万円と夫に比べて高く、夫婦あわせると2200万円ある。住宅ローンの繰り上げ返済と資産運用のレッスン・相談に来た。ご夫婦のデータは以下のとおりだ。注目すべき点は奥さまの収入が高いこと、なぜか家が2軒あること、そして貯金が少ないことだ。

■年収:夫婦合わせて2200万円
夫(39歳):800万円 国内の上場メーカー勤務
妻(39歳):1400万円 外資系大手IT企業勤務

■家庭の状況
結婚9年目、子どもは4歳と2歳。出来ればもう1人欲しい

■資産
現在の貯金額 600万円
毎年の貯金額 500万円〜700万円(ただし余裕資金はすべて、ローンの繰り上げ返済に当てている)
外貨貯金 約180万円分(全てニュージーランド・ドル)
株や投資信託 約500万円分(勤務先の株式が大半)

■住居
居住用(2005年に購入)
価格3900万円、当初住宅ローン3700万円、毎月の返済額約10万円
ローン残高 妻280万円、夫600万円(合計880万円)

貸し出し用(2011年購入) 
価格4400万円、当初の住宅ローン4200万円、毎月の返済額約12万円(家賃18万円で貸し出し中)
ローン残高 夫3200万円 

■相談内容
現在住宅ローンが3本ある状態。どのローンから繰り上げ返済すればいいか。繰り上げ返済と貯金のバランスはどうしたらいいか。手元の資金はどのように運用すれば良いか

家を2軒所有、住宅ローンは3つも残っている

シェアーズカフェ・中嶋(以下、中)「今回来店されたきっかけは日経DUALの連載を読まれてということですが、6500万円の住宅購入に関する記事ですよね」

「はい。その後の8000万円のマンションの記事も読みました。実は、過去に保険会社とローンを組んでいる銀行でFPに相談したことはあります。ただ、あなたは収入が高いから問題ないと言われてしまい全然役に立たなくて……

「それはちょっとひどいですね(苦笑)。FPと言ってもさまざまな人がいるんですが、ざっくり分けると金融機関に属しているFPと、自分のように独立しているFPがいます」