10年勝ち続けたとはいえ、次の10年もそうだとは限らない

 米国などの長期統計を見ると、ある10年で勝った投信が、次の10年では大きく負けることも珍しくない。

 その理由としては

1)その投信の強みが時代の変化にやがて合わなくなる
2)規模が大きくなって運用がやりづらくなる
3)運用担当者が交代する

 など様々だ。

 今回紹介した投信が、過去の成績だけでなく、運用の体制という「質」の面でも優れているのは事実。でも好成績がずっと続くかはわからない。アクティブ投信なので手数料はいずれも相対的に高めだ。

 後で振り返って「この投信は勝った」というのはもちろん簡単だ。しかし今後も勝ち続けるアクティブ投信を事前に選ぶのはかなり難しい。そして人生には勝ち続ける投信を選ぶより大切なことがたくさんある。忙しいDUAL世帯は特に、仕事や家族に大切な時間を使いたいはず。

 それならなおさら、資産の大部分は、前回紹介したような低コストのインデックス投信(様々な指数に成績が連動する投信)を使って、世界全体に幅広く投資するのがやはりセオリーだろう。

 そして、資金の一部を使って、今回紹介したようなアクティブ型投信を組み入れることで、資産全体の収益率をさらに高めることを目指す、というのが一つの選択肢になるのではないだろうか。

 次回は今回紹介できなかった債券の投信と、実はかなりのエリートでも理解していない、債券の価格と金利が逆に動くという仕組みを考えていく。

(文/日本経済新聞社編集委員 田村正之)