投信評価会社モーニングスターは今年2月、初めて「10年間でみた優良投信」(ファンド・オブ・ザ・ディケード)を発表した(表A)。ちなみに「ディケード(decade)」は10年と言う意味だ。

 成績の上昇率の大きさだけでなく、ブレの少なさ、運用体制の充実も含めて、選定は行われた。今回はその中のいくつかの株式部門の顔ぶれを見て、「10年にわたり市場の平均を大きく上回った/勝ち抜いた」 理由や特徴を考えてみる。

10年間続けて大きく勝ち続けた理由は?

 まず日本株部門の「JPM ザ・ジャパン」。

 昨年末までの10年間で、投信の成績を示す基準価格(分配金が出た場合はそれも再投資したと見なした総合成績)は4.7倍。つまり100万円投資したら470万円になったということ。これはうれしい。同期間、日経平均株価は1.5倍になっただけなので、“勝ちっぷり”は際立っている(グラフB)。

 相場の大きなサイクルを読み、「変幻自在」に銘柄を入れ替える。最近は独自に競争力を伸ばしてきた不動産関連や建設関連株などに注目していて、組み入れ上位には西松建設、東京都競馬、東京ドームなどが並ぶ。これは市場の平均を示す東証株価指数(TOPIX)に属する銘柄を、時価の大きさで並べた順番とかけ離れている。市場でどんな銘柄が買われているかという人気にとらわれず、独自の視点で銘柄を選んでいるということだ。

 この「TOPIXの時価の大きさの順番とかけ離れている」ことが「10年で勝った」ことの重要な点。他の多くの投信は時価の大きさの順番(つまり市場の人気の順番)とかなり似た銘柄の構成にしがちだ。すると当然、成績はだいたいTOPIXと似たような動きになる。

「あれ?」と思うかもしれない。アクティブ型は、市場平均に勝つことが目的ではなかったかと。

 しかし、投信の運用担当者はサラリーマン。「1人だけ大きく負ける」ことがあると、担当を外されたりしかねない。このため全体的には市場平均とかなり似た動きになるようにしがちなのだ。みんなと同じことをする結果、大きく負ける危険は少なくなる一方で大きく勝てる可能性も小さくなる。

 だが、アクティブ型は前回紹介したように、手数料が高い。手数料を差し引く前の成績が市場平均にかなり似ている (つまり大きな利益は上げられない)のに、そこから高い手数料が引かれるので、結果的に市場平均に負けてしまいがちだ。これが、やはり前回示したように、多くのアクティブ型投信が市場平均に結果的に負けてしまいやすいメカニズムだ。市場平均に負けるということは、市場全体が上がっていてもそれよりもうけは少なくなるし、市場全体が下がっているときは損失がより大きくなるということだ。

 でも「JPM ザ・ジャパン」は「市場の人気」にとらわれず、大きく株価が上がりそうな銘柄を果敢に組み入れていく。銘柄入れ替えは頻繁で、その結果、手数料も高い。こうした運用では見込みを間違うと逆に成績が悪化しかねず、「JPM ザ・ジャパン」のように長期に好成績を保つのはかなり珍しい。運用担当者の腕が良かったため、過去はそれが当たってきたということだ。