もちろん公立中に行く場合も、その生活がうまく行くように、見守り、支えるということに関しては同じなのですが、いろいろと直接的な関わりが必要になることが多いのです。極端にいろんな子がいる中の人間関係を、難しい年齢にさしかかったところで渡っていかなければいけないので、緊張やいじめも多いです。また、親同士のコミュニケーションは、地域的なネットワークで暗黙的に行われることが多いため、共働き家庭にとっては把握しにくいです。

 学校の授業が充実していない中で、高校受験に向かっていかなくてはいけない(内申を取る+受験勉強をする)ので、親の段取りがある程度必要です。

 一方、中学受験を経て私立中に入ってしまうと、そのあと親が直接「出張って」問題解決する必要は非常に少なくなります。子どもの話をさりげなく聞いてやり、親同士の親睦会があれば出かけていく程度のことで、スムーズに回っていきます。

 選びに選んだ学校の、生徒たち、先生方、そして学校のポリシーが、快適生活と子どもの成長を支えてくれるからです。

 中学受験をして、私立中に進学するためのあれこれは、決して簡単でも、楽チンでもないんですけど、その大変さや、必要な工夫は、共働き生活の中でもやりくりできる性質のものがほとんどです。つまり、朝や夜、土日にできたり、すきま時間でメールや電話やPCで済む部分が大きいのです。休みを取って学校に行ったりするのと違って。

 また、親子で過ごす時間が限られた中で、中学受験というものに一緒に取り組むことを通して、親がこれまでの人生で培ってきた様々な「宝」を伝えてやることができるでしょう。たとえば、時間のやりくり、こなすべき課題の管理方法、効果的なメモの活用など…そして一番すばらしいのは、目標をブレイクダウンして日々地道に取り組むことの価値を伝えられるということ。