2014年初春、「日経ウーマノミクス・プロジェクト」新渡戸文化学園(東京都中野区)を会場に「キャリアマザーフォーラム」(協賛:アルビオン、東京ソワール)というイベントを開催しました。今回はルポ第4弾の最終回です。

同イベントで日本総合研究所・調査部主任研究員・池本美香さん(8歳女児と、3歳男児のママ)と放課後NPOアフタースクール代表理事・平岩国泰さん(9歳女児と、5歳男児のパパ)により、「子どもと学びは今」というテーマの対談が行われました。ママやパパが「子どもの保育と学び」を考え直すうえでつい忘れてしまいがちな「子どもの視点」に立ち、多くの問題が提起されました。今回のテーマは「子どもの幸福感」です。平岩さんによる講演のダイジェストをお届けします。

子どもが求めているものは、放課後に一緒に過ごせる仲間

講演をする平岩国泰さん
講演をする平岩国泰さん

 放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰です。私達の団体はアメリカのアフタースクールをモデルに、学校という施設を活用した小学生の放課後の過ごし方を提唱しています。2011年度からは、新渡戸文化学園でもアフタースクールを開校しています。

 今日お話しするテーマは「学童期の子ども達に関する保育と学び」です。

 発達心理学の観点から、学童期に必要なことを考え、同時に子ども達から「放課後にやりたいと思うことは何か?」と聞き取ったところ、ある共通のキーワードが浮かび上がりました。それは、「仲間」です。

 ここで、次の資料をご覧いただきたいのです。

 これは千葉県警が発表した「子どもの犯罪の発生時間帯」を示したグラフです。

 我々の業界で、15時から18時は「魔の時間帯」と呼ばれています。ニュースで子どもの犯罪が報じられると、私は事件が起きた時間を見るようにしていますが、この時間帯に起きていることが多いのです。薄暗くなって、顔の判別が難しくなってくる夕暮れ時。「誰そ彼」が語源となったたそがれ時が、犯罪のリスクが高まる時間帯だと言えるのです。

 さて、平日のこの時間帯に、子ども達は一体どこで何をして過ごしているのでしょう? 

 公園を探しても子どもは見当たりません。実際は、家で一人でゲームにふけっている、あるいは塾に追われる日々を過ごしている。そんな子ども達が多い状況だと言えます。一週間のうち、放課後を一人で過ごした日数を尋ねた調査では、「3日以上」と答えた子どもが22%でした。これは、海外の子ども達と比べるととても高い数値です。