社会全体で教育に関わり、日本の子どもを幸せにしたい
私が以前に訪れたアメリカのアフタースクールでは、「コミュニティー・ラーニング」という言葉が繰り返されていました。これは「社会全体で子どもを育てる」という概念です。よくよく思い起こせば「社会全体で子育て」することは、これまで日本のお家芸だったはずです。町が遊び場で、近所のおじさんやおばさんに怒られたり、大人が総がかりで子どもを育てていく風土がありましたよね。
しかし、今では社会と子どもは分断される傾向にある。池本さんのお話にもありましたが、保育園の先生に頼りっぱなしにするのではなく、親同士が自分の得意分野を子ども達に教え、一緒に遊んだり学んだりすることができないものでしょうか。
アフタースクールでは、「市民先生」によって社会総がかりで子どもと接する機会をつくり出しています。料理の先生、茶道の先生、音楽の先生達は、皆さん、町の住人です。いろんな人の力を借りて、社会全体で子どもを育てていく。子ども達にとっては学校が楽しみになり、友達と夢中で取り組む体験が増えることで、家庭内での発言も活発になります。そのおかげで、お父さんもお母さんも安心して仕事ができます。また、一度、仕事から離れていた保護者にとっても、また新たに仕事を始めるきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。
保護者の方が充実した毎日を送って元気でいると、子どもも元気でいられます。今日は日本の子ども達を取り巻く残念なデータをご紹介しましたが、いつか日本が「世界で一番幸せな子どもの国」と呼ばれる日が来てほしい。私はそう願っています。
(ライター/砂塚美穂、撮影/鈴木愛子)