米国出身の弁護士で史上最年少、女性初の証券取引委員会委員、現在は英国原子力公社名誉会長を務める、バーバラ・ジャッジさん。極めて成功したビジネスパーソンであると同時に成人した息子の母親でもあります。ジャーナリスト・治部れんげさんが、働く母親、キャリアを目指す女性やそれを応援する男性向けに伝えたいことを聞きました。

働く母親が「罪悪感」を持つ必要はない


インタビューに答えるバーバラ・ジャッジさん

治部 ご自身は企業法務専門の弁護士としてキャリアをスタートしました。非常に競争の激しい分野だと思います。育児との両立は難しかったのではありませんか?

ジャッジさん(以下、敬称略) 確かに私は非常に忙しく責任の重い仕事をしていました。働く母親にとって最初の関門は、日本も欧米も変わりません。それは「罪悪感」です。

 私は日本の働くお母さん達に「罪悪感は不要だ」とお伝えしたいのです。教育を受けた女性は家庭を持って子育てをするだけでなく、自分自身の人生を生きるべきです。そのために働くことはとても重要です。

 私自身、息子が一人いますが、子育てをしながら働くことに、罪悪感を感じたことはただの一度もありません。それは周囲の人、特に家族のおかげだと思います。


87歳まで大学の役員級として働き続けたお母さん

 出産した時に母から言われた言葉は、今でも時々思い出します。

 「赤ちゃんのオムツを換え、ミルクをあげて寝かしつけることは、あなたでなくてもできる。だからあなたは自分の仕事をしなさい」

 私の母も最近まで働いていました。87歳まで、大学で役員級の職に就いていたのです。

 アメリカは日本と比べれば女性の社会進出が進んでいますが、母の世代でそのように働き続けた人は珍しかった。母が若い頃、アメリカではフェミニズム(男女同権運動)が起こりました。フェミニズムが母に影響を与えたというより、母のように強い意志を持って働いた女性がフェミニズムを作ったのだ、と思います。

 もう一人、私の職業意識に影響を与えたのは、当時の夫です。夫もまた、非常に忙しく働いていました。ある日、引っ越したばかりの家で、台所が汚れていることに気づいた私は、掃除を始めました。汚れた部分を取り外し、流しでゴシゴシ格闘すること丸一日。その甲斐あって、台所をはピカピカになりました。ところが、そのことに夫は全く気付きもしなかったんです(苦笑)。こちらが指摘しても「ありがとう」とすら言ってくれませんでした。その時、分かったんです。夫は私が台所を磨き上げることに、全く興味がない。さらには、「掃除をしてほしい」とさえも思われていないのだと。

次ページから読める内容

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  • 寝耳に水で「クビ」を言い渡された理由は、弁護士らしからぬ服装
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