目黒区の認可保育園に通う娘がこの春から年中になった。小学校進学を意識し出したら「そういえば学童ってどうなの?」と考えると、何も知らないことに愕然とした子育て奮闘中のデュアル世代ド真ん中のパパライターが、「学童についての素朴な疑問」をフットワーク軽く探っていくこの連載。前回の「“ハズレの学童”は2015年度から減っていく」に続く第3回目は、東京都23区内で進む「全児童対策事業と学童の一体化」の草分け的存在である世田谷区の新BOPについて、区の児童課に聞いてみました。

 現在、特に東京23区内の公設学童では、親の就労状況にかかわらず、小学校のすべての児童を対象とした全児童対策事業と学童の一体化が進んでいるということがわかった。

 改めて確認しておくと、学童保育は保護者の就労などで、放課後の保育が必要な子どもの利用に限定されているのが基本。これに対して保護者の就労の有無にかかわらず、誰でも放課後に自由に集って遊べるスペースの提供を目指して設立されたのが「全児童対策事業」だ。

 全児童対策事業との一体化が進む学童には、“保育的な機能”が失われてしまったケースもあるらしい。もちろん、一体化すべてが問題というわけではなく、早くから一体化に取り組み、成果を上げている自治体もある。その代表的な存在が世田谷区だ。では、世田谷区の学童は今どうなっているのか、区の児童課に聞いてみることにした。

世田谷区の学童「新BOP」とは!?

 この連載の第1回目でも触れたが、世田谷区の学童は「新BOP」事業と呼ばれている。BOP(ボップ)とはBase Of Playingの略で、訳すと「遊びの基地」。子どもたちがのびのびと遊べる広場の役割を果たすための全児童を対象とした事業で、その小学校に通う児童なら希望すれば誰でも参加することができる。これに、従来の留守家庭の子どもたちが参加することのできる学童クラブを統合したものが「新BOP」なのだ。

 世田谷区の新BOPの導入は99年度に4校で開始され、その後、毎年のように10校前後での導入が進み、7年後の05年度には区内の区立小学校64校すべてに導入された。最初の4校で導入されてから今年度で15年目、64校すべてに導入されてから9年目ということになる。

 「新BOPを導入するまでは、BOPと学童クラブは別の事業として行われていました。学童クラブは、主に児童館をはじめとする小学校とは別の独立した建物のなかで昭和の頃から続いてきたものです。それとは別に全児童対策事業のことをBOPと言いまして、放課後の校庭など、安全が確保されたなかで子どもたちに毎日通っている小学校で自由に遊んでもらうための事業として95年度から始めました。このBOPと学童クラブの2つの機能を持つのが新BOP事業で、全64校すべてが統合されています」(世田谷区児童課)

 全児童対策事業と学童の一体化と言っても、その形は導入する自治体によって様々なようだ。大きな違いとして挙げられるのは、「学童保育児童の区分があるかどうか」ということ。

 世田谷区の場合で言えば、全児童対策事業である新BOPに登録することが必要で、さらに学童(新BOP学童クラブ)の利用を希望する場合にはそちらにも登録するという形になっている。BOPは利用料無料、学童(新BOP学童クラブ)は月額5000円の利用料が必要だ。なお、おやつ(間食)代は5000円に含まれている。

世田谷区ウェブサイトを基に作成
世田谷区ウェブサイトを基に作成

 ちなみに、13年度現在、64校の児童数は3万2015人で、新BOP登録児童数は2万3830人。全児童の74.4%が新BOPに登録していることになる。そのうち、学童クラブの登録児童数は4343人。新BOPに登録している子どもたちの18.2%が学童クラブに登録しているが、あくまでもこれは全体の数字であって、もちろん、学校ごとにバラつきがある。