今春、待機児童ゼロを実現した千葉市。熊谷市長は高齢者対策から子育て支援重視に舵を切った。抵抗はなかったのだろうか。さらに今後の方針や、共働きについての考えについて、前回の「待機児童ゼロを実現できた理由」に続き熊谷俊人千葉市長に聞いた(聞き手は日経DUAL編集長・羽生祥子)

高齢者用の予算を見直し、子育て支援にシフト

羽生祥子編集長(以下、羽生) 入所待ち児童を減らすための、地道で丁寧な努力に感銘を受けますが、もうひとつ私が感銘を受けていることがあります。それは、「子育て世帯は収入もあり、消費する世代。税収確保や都市の競争力アップという点で、千葉市に子育て世帯を呼び込みたい」と明言されていることです。もっというと、「市長就任後、高齢者対策に比重を置いていた千葉市の予算を見直し、子育て支援にシフトする」と言い切っていることです。

 これは「選挙対策用の偏った高齢者優遇政策」とは正反対です。人口構成から考えればもちろん高齢者がマジョリティーですから、選挙を考えると「高齢者用の予算を、これからは子育て世帯にシフトする」というのは、なかなか怖くて言えないセリフだと思うのですが…。

熊谷俊人市長(以下、熊谷) 市民との対話会などもよくやっているのですが、対話会の参加者は年配の方が多いのですが、そこでは「市長は自身が若いから、子育て世帯に優しいけれど、もう少しこのまちを作ってきた高齢者に優しくしてもいいんじゃないか」と言われます。直接言われる以上に陰で言われていますよ、きっと(笑)。

熊谷俊人千葉市長(左)と日経DUAL編集長・羽生祥子
熊谷俊人千葉市長(左)と日経DUAL編集長・羽生祥子

熊谷 僕が必ずそのときに言うのは、いや、少し考えてくださいと。「みなさんは今後誰に支えてもらいますか?  同世代だけではもちろん支え合えません。子育て世代の人たちの納税であり、介護職員などとしての人的なパワーで支えてもらうことになりますよ」と。だから、子育て世帯を支援するというのは、単に子育て世代対策ではなくて、高齢者施策でもあり、さらには経済政策でもあるんだと。子どもが少なくなっている国において、このことを理解してもらわないと困りますということは、しっかり言ってます。

ただ、日本には高齢者のことしか考えてない高齢者は少ない。高齢者の方は高齢者なりに、若い人たちにチャンスを与え、若い人たちを応援しないといけないと本気で考えてくださっている。それは日本の美徳だと思います。もちろん「声の大きい人」はいますよ。でもね、それは決して大勢ではないし、ちゃんと説明をしていけば、ある程度は理解してもらえると思っています。

次ページから読める内容

  • 「見える」待機児童ゼロだけではなく、実感できるリアルなニーズに応える
  • どんな状況でもワークできる環境が提供されているのが社会の基本
  • いざというときに頼める地域とのつながりを作るのも親の仕事

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