続いて登場した証言も、イクボス度の高い上司の例。
(34歳、通信サービス、情報処理)
証言を読み上げる日経DUAL編集部の大谷デスクが、「夫の育児体制までヒアリングする発想は、なかなか持てませんね」と唸る横で、「この上司が男性か女性かはわかりませんが、男性だとしたらきっと育児経験があるはず。だから、想像が行き届くのです」と安藤さん。
「育児に関する環境がどのくらい整っているかを上司と部下の間で具体的に共有できると、復帰後のキャリアプランも一緒に考えやすくなります」と解説しました。
上司のドン引き発言に安藤さんが鋭くダメ出し
イクボス度の高い上司の存在が伺える証言がある一方、「ドン引きした言葉」の証言には強烈なインパクトあるものも。
(45歳男性、教育、専門職)
という証言には、会場もドン引き。
「あちゃー、大したこと言っちゃいましたね。この上司、50代ですよね。近い将来、自分が親の介護をする時にしっぺ返しがきますよ」と安藤さんも呆れ顔。
「ただし、育児経験がない人ならこの程度の理解というのが現実。育児中の生活について、できるだけ“可視化”して伝える努力も必要」というアドバイスに、羽生編集長も「上司にイクボスになってもらうためには、こちらの事情を伝える勇気を持つことも大事ですね」とうなずきます。
最後に登場したのも、程度の差はあっても多くの職場で見られそうなガッカリ発言。
(40歳女性、メーカー、女性)
「そもそもの前提として、『その人にしかできない仕事』をつくってしまうのがマネジャーとして失格。これ、男性にありがちな発想ですね。『オレしかこの仕事はできないだ!』って燃えて仕事を抱え込んできた人がボスになると、こういう発言が生まれます。本当にその人にしかできないワン&オンリーの仕事って、人間国宝くらいでしょう(笑)」
「メーカーの営業で、その人にしかできない仕事なんてありえません。属人性の高い業務をつくるのではなく、チーム全体でシェアして助け合えるシステムをつくるのが上司の役割です。
要注意は、皆勤賞ホルダーの上司。熱があっても這ってでも出てくるのが美徳、と勘違いしています。子どもも大人も熱があったら休まないといけないことを教えてあげましょう」
ユーモアあふれる熱いアドバイスに、会場は爆笑の連続。
自分達の行動で、働きやすい社会を作っていける
最後に、「繰り返しますが、人は自分の経験からしか学べない。だからこそ、お互いに相手の立場にたって考え、行動することが大切。夫も上司もあきらめずに、根気強く、一緒に働きやすい社会を作っていきましょう!」と力強くエールを送った安藤さん。
上司の言葉を鮮やかに斬る安藤さんのアドバイスの続編は、連載コラム「DUAL式イクボス養成塾」でお楽しみください。
(ライター/宮本恵理子 写真/稲垣純也)