編集者から起業家へ! その原動力は「怒り」だった

海外で買い付けてきた商品を店頭で説明する青木さん
海外で買い付けてきた商品を店頭で説明する青木さん

―― ファッション誌の編集者だった愛さんが、起業した理由は?

青木 ニューヨークで出産した後、長男が3カ月のときに東京に戻って来たのですが、とにかく日本には着る服がなかった。ママはオシャレしちゃいけない、オシャレを楽しんではいけないという雰囲気があったように思います。

 休職中にニューヨークへ行き、そのまま産休に入っていたのですが、前例がない立場で長く休むわけにもいかないですし、早く働きたい気持ちもあったので、長男が5カ月のときに職場復帰しました。でも、授乳中に着られる素敵な服がない。ファッションエディターにとって、着る服が無いというのは本当に辛いことで…。
 ファッション業界でも、当時のマタニティファッションというのは隅に追いやられていたのですが、ニューヨークで授乳服も妊婦服もたくさん見ていたので、これを日本に持ってきたいと考えました。

―― 確かに、私が娘を妊娠した7年前には、ヴィリーナの店頭にあるような、ここまでおしゃれな授乳服はありませんでした…。

青木 最初は、「なんでこんなにママが着られる洋服がないの!」っていう怒りがきっかけでしたね。「授乳服だって、海外にはこんなに良い服あるじゃないの!」なんて、思いながら(笑)。

 「ヴィリーナ」という会社名は、エスペラント語で「女性の、女性らしい」という意味なのですが、出産後もファッションを楽しめたら、女性たちはもっと生き生きしていられるという思いも込めました。妊娠してママになって、あれもダメこれもダメ、おしゃれするのもダメ…という三重苦のようになる雰囲気を打開したかったんです。

 30代前半で会社を辞めて、3カ月ほどフリーランスで雑誌の仕事を続けながら起業の準備をして会社を立ち上げました。