夫婦の大好物、おでん。息子にもしっかり受け継がれたことを知ったヨメは…

 さて、寒い季節の楽しみといえば、おでんもある。

 嫌いな人もいないと思うが、我が家も夫婦ともどもコイツには目がない。いわゆる老舗のおでんやさんも好きだし、家の近所に出没する屋台のおでん屋さんにもよく行った。染み染みの大根に練りからしをたっぷりと付け、熱燗をツィーッとやると、ニッポンの冬万歳、である。

 その遺伝子が、虎蔵(仮)にも受け継がれたらしい。

 そもそものきっかけは、浅草合羽橋でおでん鍋と熱燗用のチロリを購入してあったことだった。妊娠期間中、なかなか外食のできなくなってしまったヨメが、できるだけお店に近い雰囲気を家で作り上げようと決意したのである。

見るからにおでん屋。これが家の中にあるというわけ
見るからにおでん屋。これが家の中にあるというわけ

 ありがたいことに、我が家の近所にはおでん種を専門に扱う小さなお店があることも犬の散歩をしている際に判明していた。「愛川屋」という、お店の奥でお父さんが種を作り、お母さんが店頭で販売している実にアットホームなお店なのだが、そこのおでん種がすこぶる美味い。口の中いっぱいに甘いスープが広がるあさり揚げは、特に絶品である。

 鍋は買った。チロリも買った。美味しいおでん種屋さんも見つけた。日本酒、焼酎ならば割といいものも揃えてある。となると、残る課題はおでん汁をどうするかということだったのだが、年末、NHKの「あさイチ」を見ていたら市販のつゆにオイスターソースを加えるだけで味の深みが抜群に増す、とやっていた。早速試してみると、なるほど、いきなりプロっぽい味の完成である。

 で、この味に虎蔵(仮)が惚れた。