千葉市は2014年4月1日時点で保育所への入所を希望しながら入ることができない「待機児童」がゼロになったと発表した。千葉市は平成22年に「アクションプラン2010」を策定。待機児童解消に向け、民間保育園の新設・定員拡充などを進めてきた。その結果、ピークの平成23年に350人だった待機児童は3年連続で減少した。待機児童ゼロ実現のために、千葉市は何を、どのように動いたのか。千葉市の熊谷俊人市長に聞いた(聞き手は日経DUAL編集長・羽生祥子)

子育ての楽しさを発信し続ける

羽生祥子編集長(以下、羽生) 熊谷市長は、ご自身の子育ての具体的なお話などもツイートされていますね。

熊谷俊人市長(以下、熊谷) 私たちの世代(お互い30代半ば)って、まず子育てイコールつらいという感覚がありますよね。ドラマやニュースなどメディア上で子育ての大変な話がよく出てくるので、「何となく子育てって大変」というところからスタートしている。待機児童の問題などが出ると、「わぁ、大変。もう子どもなんか持たないほうがいいんじゃないか」というふうに思われてしまう。

それよりも「子育てというのは楽しいんだ。ときにはつらいこともあるけれどもそれ以上に楽しいんだよ」と、発信し続ける必要があると思うんです。そうでないと社会の雰囲気として子どもが欲しいという雰囲気になりません。

ですから私自身は、子育てをポジティブに発信していきたい。男性も育児をするのは当たり前。イクメンにとってみれば、「おう、千葉市長も仲間か」というような気持ちにもなる。女性からすれば、「私も大変だけれど、市長だってやってるよね」と、そんな雰囲気を醸成できればいいなと思っているんです。

熊谷俊人千葉市長(左)と日経DUAL編集長・羽生祥子(右)
熊谷俊人千葉市長(左)と日経DUAL編集長・羽生祥子(右)

羽生 今日はいろいろお伺いしたのですが、まず最初に「待機児童ゼロ」を達成された際に、どういった工夫や実務をされたのでしょうか?

熊谷 保護者の方は全部の保育所や保育施設のことを知っているわけじゃないんですよね。行政じゃないですから。何となく自分の調べられる範囲なりで、「あそことあそこがいいな」と思って申し込む。すると、待機児童になりましたとか、もしくは兄弟がいて別々のところになっちゃった、ということになってしまう。