勉強という意味だけではなく、学校生活の中で、子どもたちは様々な影響を及ぼしあい、その中からいろいろなことを学び取っていきます。多様な子どもがいればたくさんのことが学べるかというと、なかなかそうはいかないところが難しいところです。気が合う、話が合う友だちがたくさんいて、自分らしい自分のままで、安心して過ごせる。自分に近いところもありながら、(違う人間なので当たり前ですが)違うところ、ハッとするような発見もある。

 要するに、打てば響く仲間がいて、安心できる環境があって、はじめて活発な「学び」が生まれるのです。

 これがうまくいくところが、よい学校…いや、万人にとってよい学校というのもほんとうのところはないわけですが、その子にとってよい学校ということになると思うのです。

 中学受験生活の中で基本的な学びを積み重ね、また、学びを積み重ねる方法自体を学び、そして結果として自分に合う学校に合格し、そこで充実した6年間を過ごすということが、中学受験のほんとうのパフォーマンスです。それらが噛み合っていれば、大学合格につながりやすいことも当然でしょう。

学校生活の中で、子どもたちは様々な影響を及ぼしあい、学び取っていく
学校生活の中で、子どもたちは様々な影響を及ぼしあい、学び取っていく

 そこまで考えてわかることは、中学受験のパフォーマンスというものは、(コストと違って)整然と概算できる形でそこにあるようなものではないということです。たとえ、進学先の中学が決まっても、です。

子どもの成長しやすい環境を整えるコーディネートも「子育て」

 パフォーマンスを高めるためには、かけた時間と、お金と、気力を上手に生かせるようにコーディネートすることが重要です。つまり、日々の学びがきちんと蓄積していき、本人に合う学校に入学し、楽しく前向きな気持ちで通えるように配慮するのです。直接、子どもと接する時間も「子育て」ですが、子どもの成長しやすい環境を整えるコーディネートも「子育て」です。後者は比較的、共働きツナワタリ生活を乗り切ってきたワーキングマザーの得意分野ではないでしょうか。

 中学受験と、それにつづく私学生活でどれだけのパフォーマンスが得られるかは、終わってみないと決まりません。親子とも、心から「中学受験をしてよかった」という気持ちで高校卒業を迎えられますように。

 次回はこの連載もいよいよ最終回。お楽しみに!