それなら中学受験をどうするかは関係ないのかというと、もちろんそんなことはありません。中学受験は、大学受験結果に直結しているのではなく、まず(1)勉強したことそのものによる効果があり、また(2)通う私学での中高六年間の生活がもたらす効果というものがあります。それらを通して、結果としては大学合格に「も」つながっているというべきものなのです。

 まず一つ目、中学受験勉強をしたことの効果というのは、最も直接的です。4教科(であることが多い)をまんべんなく学習することによって、読み書きや計算の技能、言葉や理科社会の基本的な知識、順を追ってしっかり考えを組み立てたり、それを表現したりする力を身につけることができます。さらに、「日々こつこつ」を積み重ねることによって、はるか遠くに到達できたという成功体験をすることができます。

 理屈からいえば、中学受験をしなくても、同等の勉強をしたってかまわないのですが、受験という(よい意味で)プレッシャーとか「場」がないとなかなかそこまでできないものです。中学受験をしない場合は「同様に」高校受験という「場」が与えられるということもできますが、3年間、後ろにシフトしていることで、かなり性質の違うものになります。

 我が家では、1人の子どもが高校受験、2人の子どもが中学受験をしましたが、それを比較して感じることは…中学での勉強のしやすさに大きな差が出るということです。小学校での勉強に比べて、中学校の勉強は急に本格化してきますが、基礎学力と、「勉強する力」を持って3年間を過ごすのと、「学習を着実に積み重ねるというのはどういうことか」から学ばなければいけない状態で過ごすのとでは大きな差があります。(そんなことをものともせず突き抜けていく子もいますが)

 次に「中高6年間の違い」です。公立中には、学力も上から下まで、すべてにおいて幅広い子どもが集まっていますが、私立中では、その学校のカラーに魅力を感じて集まってきた中から、ある入試で選抜された子どもだけが集まっています。比較すれば非常に均一な集団ということになります。

「均一な集団」で過ごすことの意味

 この「均一な集団」ということには2つの側面があります。ひとつは、そういう集団にターゲットを絞ってよい分、有効な授業展開ができるということです。もうひとつは、均一な集団の中で、密な「学び合い」が起きるということです。