前回「共働きはとにかくやめないで! 中学受験するならなおさら」は、「中学受験のコストパフォーマンス」のうち「コスト」の話をしましたので、今回は「パフォーマンス」の話を。

 中学受験をするかしないかで、生活のありようはかなりドラスティックに枝分かれするので、なかなか冷静に比較しにくいのですが、大きく「中学受験勉強の効果」「中高6年間の違い」「大学受験結果の違い」に分けてみてみましょう。

 よく雑誌の企画やネット掲示板で言及される「コスパ」でいうパフォーマンスは、この3つのうち大学受験結果のみにフォーカスすることが多いです。学校の外から見てもわかる「数」でざっくり比べる都合から、どうしてもこうなります。

中学入試の偏差値が同じなら、東大合格者の多い学校が「パフォーマンスのいい」学校なのだろうか
中学入試の偏差値が同じなら、東大合格者の多い学校が「パフォーマンスのいい」学校なのだろうか

 この見方でいくと、東大に20人合格するA校と、東大に10人合格するB校があって、中学入試の難易度が同じならA校がお得、ということになりますが、ほんとうにそうでしょうか。例えば、あなたのお子さんはこの両校に「ぎりぎり入れる」くらいの学力があり、どちらに行くこともできるのですが、実はB校は合格ライン上に「だんご」状に密集して分布するお子さんが入学する傾向にあり、A校は合格ライン上よりも、ずっと上のお子さんが多く「滑り止め」として入学してくる学校だったとします。

 あなたのお子さんはB校に行けば丁寧な指導で順調に伸び、結果その「10人」に入るかもしれません。逆に、A校に行けば、中学受験んのリベンジを東大入試で果たしたい優秀なお子さんに合わせてハードな授業が行われており、そこで落ちこぼれてしまうのかもしれませんよ!?

 …あくまで、わかりやすさのため極端にした話ですが。結局のところ、○○大に何人といっても、あなたのお子さんの年度にどうなるかわかりませんし、さらにはその「何人」の中にお子さんが入るかどうかはわかりません。

 さらにいえば、あなたのお子さんは、公立中に行っても、トップ都立に合格し、自分でサクサク勉強して、するりと難関大に行ってしまう、それこそ「安上がり」なお子さんかもしれないですしね。そうしたらそもそも、「私立に行く必要はなかった」と、そういうことになるのでしょうか。

 大学受験がどうなるかは、もちろん中学校ごとに集団で比べた場合の違いはありますが、我が子がどうなるのかという個別の結果は中学の名前で保証されるものではなく、究極的には「本人次第」としかいいようがありません。