著者は、テレビ局でTVディレクターとして勤務しつつ、一般会社員の夫と娘の3人家族で共働き生活をしていた。そこに突然降り掛かった「夫の海外赴任」。悩んだ末、2013年、家族でタイに引っ越すことを選択した。海外で生活する共働き世帯ならではの立場から、考えたこと、挑戦したことを綴る――。今回のテーマは、娘がインターナショナルスクールで学び始めた「フォニックス」。

そもそも「フォニックス」ってどんなもの?

 日本でも広く知られるようになった「フォニックス」。これは、アルファベットの文字と音の関係を覚えるための学習法の一つだ。

 アルファベットのABCで例えると、“a(エイ)”は、“ア”と発音し、“b(ビー)”は、“ブ”と発音する。“c(スィー)”は“ク”と発音する。例外はあるものの、この規則性を学ぶことで、正しい読み方を習得できるという。

 このフォニックス、実は2種類あり、最近になって英国など海外で広がっているのは“Synthetic Phonics(シンセティック・フォニックス)”と言われる新しい学習法だ。これは、日本で広く知られている従来のフォニックス以上に、初心者が学びやすい方法だと言われている。

注目を集める、新しいフォニックス

 インタナショナルスクールに転校後、娘が最初に学校からもらってきたテキストは、このシンセティック・フォニックスの教材『Jolly Phonics(ジョリー・フォニックス)』だった。新しい学習法とはいえ、英国では2007年に教育指導要領に盛り込まれ、世界100カ国以上で教えられている。

 英語が全くできない状態から始めることができ、娘のように非英語圏から来た子どもや、これから文字を学ぶ4~6歳の英語圏の子どもに有効だという。

 確かに、楽しい言葉遊びとアクションで覚えられるよう工夫されているせいか、娘は家でもよく呟いていた。イラストも付いているので、単語を知らなくても、意味を理解していけるのもありがたい。

 上の写真は、学校で配布されたテキストとプリント。このイラストのように、“a”は、ants(アリ)が腕を登ってくるようなアクションをしながら発声して練習する。つまり、「アッ、アッ、Ants」と言いながら、ありが上るように腕を押す。

 “s”は、ヘビが動いていくように手をくねらせながら「ス、ス、Snake」。

 “t”は、テニスを見ている観客や審判のように顔を左右に振りながら、「ツ、ツ、Tennis」。このように、アクションと発音を一緒に学んでいった。

 上記では、伝えるために音の近いカタカナで書いたのだが、当然カタカナそのままの発音ではなく、英語の子音として発音を覚えていくので、ネイティブらしい発音も一緒に習得する。

 楽しい手遊びをしているうちに、英語が読めるようになっていくのだから、親の私達も驚いた。