長男が小学校に上がるタイミングで、下の子を保育園に預けて、スーパーのパートとして働き始めた園丘さんは、夫の被扶養者の範囲も超えて、バリバリと働いてきました。ところがある日、彼女に「レジ係」から「総菜係」への異動の話が持ち上がります。そのときに感じたパートという仕事のやりがいと限界とは? そして彼女が正社員にならない理由とは?

 園丘真美さん(仮名/42歳)がパートで復職したのは、8年前。結婚で仕事を辞め、ほどなく長男を授かったが、その長男が小学校に上がるのを機に、下の子を保育園に預け、自宅近くのスーパーで働き始めた。

 もともと積極的な性格。特に「スーパーで働きたい」との思いがあったわけではなかったが、園丘さんにとって仕事は、どんどん大きな存在になっていった。

レジ・パートで8年。新卒新入社員も教えるベテラン

 痩せ型だが筋肉質。ずっとヒップホップのダンスを続けていて、体力はあるほうだ。

 近所のスーパーでのパート募集に応募、レジ担当として働き始めたときは、年収103万円の、所得税の非課税限度額であり、配偶者控除内で働いていた。その後、自ら保険料を支払わず、夫の被扶養者として将来基礎年金がもらえる厚生年金の第三号被保険者でいられる範囲、つまり「週30時間未満」「年収130万円未満」まで徐々に勤務を増やしてきたが、今ではその制限も超え、自ら厚生年金に加入するまでになっている。

 ほぼフルタイムで勤務する、入社8年目・42歳の主婦パートといえば、店舗運営のコア戦力。入社時以来レジを担当し、自他共に認める実力がある。スピードはもちろん、レジ後の商品をかごに並べる美しさ、周囲への細かい目配りやサービスカウンター業務等、あらゆる仕事に精通する。

 それだけではない。シフトや勤怠など他のパートの管理も担当する。ここ数年は、高卒の新卒新入社員が入ってくるたび、レジ部門の実務教育も行ってきた。

 「まる7年レジを担当してきたわけですから、既にレジ業務は知り尽くした感があります。お客様からの大小様々な質問やクレームは毎日のように発生し、対応は待ったなしです。正直なところ、レジならどんな場面でも、ほぼ切り抜けられる自信がつきました」