仮説を立て、置き場所を変えたら、売り上げが倍増

 最近、こんな経験もした。

 「『おにぎりは、それを買うことを目的にしている人が多い商品だから、多少不便な場所に置いておいても、売れるのではないか』という仮説を立てて、お総菜コーナーの一番奥に移したんです。その代わりに、今まで最奥に並べていた商品を、おにぎりを置いていた、お客様の目に留まりやすい場所に移しました。そうしたところ、その商品の売り上げが、まさに倍増したんです」

 ちなみに、おにぎりの売り上げは、当初のもくろみ通り、減らなかった。つまり、もともと最奥に置いていた商品の売り上げの伸びが、そのまま総菜コーナーの業績を底上げした形である。

 「すごい! って、思いました。このワクワク感は、レジでは味わえないものでした」

 もちろん、すべてが思い通りに運ぶわけではない。でも、そうした微妙な変化に合わせた計画的な売り場づくりは、園丘さんにとって未知の世界であり、ものすごく面白いことだった。

午前中、午後、夜・・・時間帯で質の違う「忙しさ」

 ちなみに勤務は、週5日。このうち4日は朝8時半に出勤する。残りの1日は、昼食後13時からの勤務である。一方、終業時刻は17時だが、その時間にはまず帰れない。18時以降の残業が常態だ。

 朝から夕方まで働くスタッフは4人。正社員1人と仲間のパート2人と園田さんだ。他に、午前だけ来るパートが6人と、夕方以降に来るアルバイトが5人いる。残業になってしまうのは、13時~17時の時間帯に求められる仕事の密度が高いからだ。

 「13時から17時は、スーパーにいらっしゃるお客様も少なく、特に総菜は売れ行きが鈍る時間帯です。その時間帯に、材料を切るなど翌日の下ごしらえを、全部済ませないといけないのです」

 といって、午前中がラクだということもない。ここは、まさに時間との戦いだ。

 「午前中は、長く務めているベテランパートさんが多く、主に彼女達が調理を担当してくれます。近くに小さな会社が多く、お昼の時間帯は圧倒的に弁当が売れるので、大量の弁当を作るのです。私の役目は、出来た弁当にラップし値付けをして、売り場に運ぶこと。ともかく12時までに、すべて並べ終えることが重要です。作業がスムーズにいかず、品出しが遅れてしまうと、そのまま夕方までの、売れ残りと化してしまうんです」