接客が好き、「固定客がつく」ほどレジが好き

 「ともかく人と応対しているのが好き。接客が好き」で選んだ仕事。入社当初は、「正直なところ、スーパーでここまでしっかり働くことになろうとは思わなかった」が、いつしか「天職かも」と思うまでになっていた。

 「レジって、単にお客様を待ち、お会計をするのが仕事ではないんです。お店でお買い物をしていただいて、最後に必ず通る所。ここでの印象が良いのと悪いのでは大違いなんですよね。だから、混んでいるときは一層スピードを上げますし、ご年配のお客様の場合は動作もゆっくり。お客様に話しかけられたり、質問やご要望を受けることも多く、臨機応変な接客が求められ、そこにやりがいを感じてきました」

 そんな園丘さんには、レジなのに「固定客」までついている。他のレジが空いているのに、園丘さんのレジにだけ人が並ぶことがあるのである。

 「ご年配の方が多いのですが、わざわざ並んで、私に声をかけてくれるのです。最初にそのことに気付いたときは、胸が震える感動を覚えました」

レジから総菜部門へ、突然、まさかの異動辞令

 そんな大ベテランの園丘さんが、7年ぶりの“新人”気分を味わっている。慣れ親しんだレジ部門から総菜部門に、異動したのだ。

 「本社総菜部門の課長から、直接打診されました。その課長は、私が入社したときにレジ担当の係長だった方でした。つまり、かつての上司です。しかも、主婦パートから正社員登用された方でもあり、好きで尊敬していた方だったので、とってもとっても、悩みました。それでも最初は、お断りしたんです」

 接客が好きで選んだ仕事である。実際、お客様受けも抜群であり、レジを担当すればナンバーワン、との自負もある。

 総菜に異動すれば、お客様との直接の接点は激減する。しかも料理は、実はあまり好きでもない。加えて総菜部門には、同世代の女性パートが少ないことも、不安要素の一つだった。

 「総菜売り場のパートは、50代後半以上、勤続10数年という、スーパーの主のような方ばかりでした。あとは、夕方の繁忙時間帯に来る、お小遣い稼ぎの学生アルバイトさん達で、入れ替わりも激しく、誰が誰だかよく分かりません。そんな場所で、レジを任されてきたときのような充実感が得られるのか、全く自信が持てなかったんです」